日本相撲協会の理事選挙は2月1日、両国・国技館内で行われる。二所ノ関一門を離脱して立候補した貴乃花親方(37=元横綱)は選挙前日の1月31日、劣勢が予想される中「立候補自体が改革」という胸の内を明かした。貴乃花親方ら7人の親方が離脱した後の二所ノ関一門は同日、都内で一門会を開催。2人の理事選立候補者への票の割り振りや、新体制での職務配分などを行うとともに、貴乃花グル-プへの今後の非協力姿勢を申し合わせた。

 理事選投開票を前に、貴乃花親方は「すがすがしい気持ちで明日を迎えたいと思います。初めてなので、明日は緊張すると思います」と、にこやかに話した。この日は、警備本部副部長として、潮丸引退相撲のため、国技館に来た。

 劣勢は変わらない。「土俵に上がるのと同じ、準備をして汗をかいてというところです」というが、表だった選挙戦はしていない。一門を離れた自身を含む7人から、票の上積みはいまのところ見えない。貴乃花親方への賛同者は他一門にも多いが、それぞれ自分の一門の候補者に票を振り分け、造反者が出ないように結束固めを行っている。

 それでも「今回、立候補したことで形をつけられたと思います」と、貴乃花親方はいう。一門離脱という荒業で強行出馬したことで、角界だけではなく、相撲ファン、相撲を知らない人までも、理事選挙に目を向けさせた。改革の第1歩と確信している。「どういう結果になったとしても、協会のために役立ちたい」という気持ちは変わらない。

 くしくもこの日、貴乃花グループ離脱後、初めての二所ノ関一門会が開かれた。7人が抜けて、投票権がある評議員は23人になった。会合には2人が協会の仕事で欠席したが、放駒親方(元大関魁傑)二所ノ関親方(元関脇金剛)の2人の理事候補への、最終的な票の割り振りを行った。「2人の票を合わせて、23票に当然なると再確認した。言葉は悪いが、裏切るようなことはないでしょう」と二所ノ関親方。放駒親方は「食事をしながら(投票を)お願いした。選挙になったんだからね」と話した。

 会合では、一門の親方衆の「新しい職務の配分についても話が出た」とある親方が明かした。審判部、巡業部など協会の仕事について希望などを聞き、さらに結束を促した模様だ。また、貴乃花グループへの「締め付け」も確認。床山や行司などを貸さないよう、申し合わせたという。同グループの4部屋には行司がいないため、けいこ土俵をつくり替える時に行う土俵祭りなど、行司が必要な時の援助が得られなくなる。

 貴乃花親方の行動で二所ノ関一門VS貴乃花グループの図式がクローズアップされるが、他の一門でも起こり得る問題。2月1日の選挙で各一門の思惑通りに票が動くかどうかが、大きな焦点になる。