日本相撲協会は30日、大相撲秋場所(9月12日初日、両国国技館)の新番付を発表した。阿覧(26=三保ケ関)と栃煌山(23=春日野)が新関脇に昇進。賭博問題で揺れた名古屋場所は、阿覧が東前頭2枚目で11勝、栃煌山が同筆頭で9勝し、土俵を盛り上げていた。2人は目標として勝ち越しを挙げるとともに、現在、3場所連続全勝優勝中の横綱白鵬(25)の連勝ストップにも意欲を見せた。

 番付に記された横綱、大関に次ぐしこ名の大きさに、新関脇の阿覧と栃煌山は、喜びをかみしめた。小結を飛び越えて新3役でもある阿覧は「気持ちいいです」、2度の小結でともに負け越した栃煌山は「すごくうれしい。関脇は責任のある位」と、笑顔を見せた。関脇となれば、47連勝中の白鵬打倒も期待されるだけに、会見で「白鵬に勝てるか?」と問われた阿覧は「頑張ります」と力説。栃煌山も「こっちは緊張もしないので思い切り当たっていきたい」と、意欲的だった。

 ともに持ち味は「前に出る相撲」と言い切る。阿覧の師匠の三保ケ関親方(元大関増位山)は「前に出る力が倍増している」、栃煌山の師匠の春日野親方(元関脇栃乃和歌)は「横綱に上手を取らせなければ」と、ともに白鵬戦にも勝機はあるとみる。阿覧は「突っ張っても、まわしでも、どっちでも大丈夫」と技術に自信。栃煌山は「毎食ご飯3、4杯は食べる」と、パワーに磨きをかけてきた。

 それぞれ発奮材料もある。ロシア出身初関脇・阿覧にとっては2月に誕生した長男サルマッツくんの存在。栃煌山は名古屋場所ではテレビ中継中止でかなわなかった送り主へ化粧まわしを見せること。そこに今度はそれぞれに横綱の連勝ストップという新目標が加わった。【高田文太】