日本相撲協会は1日、横綱白鵬(25=宮城野)が、双葉山の69連勝に挑戦する大相撲九州場所(14日初日、福岡国際センター)の新番付を発表した。白鵬は、福岡・筑紫野市の宿舎で会見。「テーマは数字」と明言し、記録超えに自信を見せた。

 いつになく白鵬は雄弁だった。約50人の報道陣に取り囲まれての会見で、自ら「今場所のテーマは数字」と切り出した。69連勝超えに対する周囲の期待は、痛いほど理解している。「不安は、ないと言ったらウソになる」と、重圧を感じていることも隠さなかった。新番付が発表され、69連勝に向けて対戦相手が見えてきたが「(相手は)誰でもいい。どこからでも来いという気持ちが大事」と、堂々と胸を張って答えた。

 これまで連勝記録については、優等生回答に終始していた。秋場所で千代の富士の53連勝を抜き、戦後最長の連勝記録を樹立しても「1日1日努力して土俵に上がるだけ」と控えめ。それがこの日は「(心と体が)かみ合えば並び、超えられると思う。体調を整え、しっかりけいこすれば大丈夫」と、言ってのけた。

 九州場所も全勝優勝すれば今年は初場所で喫した3敗だけだ。昨年自ら築いた、86勝の年間最多勝を1つ更新する。会見で指摘され「それは忘れていた」と豪快に笑ったが、2つの新記録の自信を問われ「もちろん。自信がないとやっていけない。ある意味勝負の場所」と、真顔で答えた。

 10月に計10日間行われた秋巡業では、新十両にまで胸を出した。「春場所から1人横綱になった。その責任が、自分をひと回り大きく成長させた。『地位が人をつくる』というのをつくづく感じる」。角界全体を引き上げたい気持ちが、自らの成長につながっていた。

 周囲の期待も高まり、双葉山に並ぶ7日目、新記録の中日の入場券は、真っ先に完売の券種が出ている。この日はゴルフでリフレッシュし、つかの間の休日を楽しんだ。「結果がついてくれば、最高の形で1年の締めくくりになる」。いよいよ伝説へのカウントダウンが始まった。【高田文太】