日本相撲協会の放駒理事長(63=元大関魁傑)は4日、大相撲春場所(3月13日初日、大阪府立体育会館)を中止する可能性を示唆した。6日の臨時理事会で協議するが、特別調査委員会による八百長疑惑力士らへの調査に時間がかかっており、処分を下せない可能性が浮上。全容解明がずれ込む見通しで、ファンの理解を得られない現状を説明した。協会は同日、6日に予定していた入場券販売開始の延期を発表した。

 放駒理事長は両国国技館で会見し、春場所開催について「気持ちとしてはやりたい。でもファンに理解してもらえない状態でいいのかどうかを考えないといけない」と、中止の可能性があるとの見解を示した。現状ではまだ、胸を張って開催できる状況には、至っていない。

 日本相撲協会はこの日、2日の理事会で八百長を自白した十両千代白鵬が、3日午後に引退届を提出したことを発表。処罰の対象になるため、協会側は保留扱いとした。特別調査委員会は現在、疑惑の親方と力士を調査中。今日5日に調査委が会合を持つが、明日6日の臨時理事会で処分を下すに足りる報告はまとまらない見通しだ。

 放駒理事長は「処罰を決める理事会にならない可能性がある。処罰と春場所は同じような話でもあるが、別の話でもある。その辺は考えながらやる。春場所をやるかやらないかは、6日の話」と慎重に話した。

 文科省の鈴木副大臣は春場所開催の是非について「(疑惑の)全容解明に向けた調査が行われなければ、国民の納得や理解は得られない」と指摘しており、調査の進展なくして、場所の開催は決められない。春場所担当部長の北の湖親方(元横綱)は「一番大事なのは信用ですから。いつまでも(決められない)、というわけにはいかない」と話した。

 処分は厳罰が予想されており、角界初の除名もあり得る。今後、調査委の調べ次第では、さらなる八百長関与者が出るかもしれない。放駒理事長は「そんなぶざまな話になっちゃいけない。お客さんあってのことだから…」と願いを込めた。

 昨年7月の名古屋場所は、前売り開始後に野球賭博問題が起きたが、番付発表が1週間延期され、どうにか初日を迎えた。今回は前売り開始が延期になったが、場所開催にこぎ着けられるのか。調査、処分、そして、再発防止策の作成-。番付発表まであと23日に迫る中、世間の理解を得るためにやるべきことは、あまりに多い。今のところ、場所開催への道のりは険しいままだ。