八百長問題の実態解明を進める特別調査委員会が9日、調査委内部での意思疎通の不足を露呈した。前日にある委員が発表したことを、一夜明けて調査委として否定した。

 全協会員へのアンケートで「大相撲で故意による無気力相撲が行われていることを見たり聞いたりしたことがありますか」との問いに「ある」と回答した者がいたと8日に発表。「それはいつ頃のことですか」の設問に、ある委員が複数の取組について指摘する回答があったと口頭で公式発表した。だが、この日になって、その回答は「存在しません」とし「『昭和40年代、前の山-琴桜戦?』という回答は存在しました」と文書で訂正した。

 師匠を通じ、全関取に預金通帳と携帯電話の任意提出を求めたと8日に発表したが、同日中に「『現時点では任意提出を求める予定はない』との方針は変更をしておりません」と訂正した。8日に発表した委員は、事情聴取にあたる弁護士の委員とは別のため、報告が的確に伝わっていなかったとみられる。

 調査委は9日、この日までに関取33人から聴取したこと、八百長関与を認める事実は出てきていないと発表した。前日とは別の都内ホテルで横綱白鵬、関脇稀勢の里、幕内朝赤龍、若の里、豊響、三段目恵那司らから話を聞いた。12日までに全関取からの聴取を終える予定という。