大相撲八百長問題で、弟子が関与した責任を取って北の湖(57=元横綱)九重(55=元横綱千代の富士)陸奥(51=元大関霧島)の3親方が、日本相撲協会の理事を辞任することが3月31日、分かった。問題解明に取り組む特別調査委員会は、23人の力士、親方の八百長関与を認定。今日1日の臨時理事会で処分が決まる。

 責任を重くみた3人の理事は、理事の座から降りる意思を固めた。弟子1人の関与が認定された北の湖、九重の両理事は役員待遇へ1階級、弟子4人が認定された陸奥理事は委員へ2階級降格する見込み。もともと調査委は3人の辞任を提言する予定だったが、すでに腹を決めた。

 北の湖親方はこの日、調査委の事情聴取を受けた。弟子の清瀬海は、携帯メールで八百長関与を認定されたが、当時は木瀬部屋所属。しかし、今年1月の初場所での八百長が発覚し、移籍後の師匠となった北の湖親方にも処分が及ぶことになった。「本人に聞き取りし、その後に私を調査するのが普通。手順に関しては不本意」と不満を漏らしたが、最終的に受け入れた。

 また調査委はこの日、春日山親方(元前頭春日富士)、間垣親方(元横綱2代目若乃花)から事情を聴き、最終的に八百長認定は23人とした。今日1日の会合で処分案をまとめ、直後の臨時理事会に提出。本人と、その師匠に弁明の機会が与えられた後、処分の検討に入る。「引退勧告」や「長期の出場停止」が主になり、事実上、自ら角界から身を引く状況に持ち込まれる。

 処分を受ける力士、親方の多くが関与を否定しており、調査委がクロ認定の材料にしたのは携帯メールと、関与を認めた者からの証言だけだった。それでも委員の1人は「メールや証言の積み重ねで、処分が妥当だと判断したということ。裁判になっても大丈夫という準備はしてきた」と話した。

 一方、処分される側は、納得していないケースも多い。間垣親方は「(若天狼が)『してない』と言っている。信じるしかない」とし、蒼国来がクロ認定された荒汐親方(元小結大豊)は「まったく、身に覚えがない。まったく、納得できない」と反論した。臨時理事会で紛糾すれば、処分確定に長時間を要する可能性がある。

 調査委は、関与した力士、親方の師匠は、連帯責任を負わせる。力士には無気力相撲に関する懲罰規定、師匠には一般の懲罰規定を適用する。問題が発覚した2月2日から丸2カ月。大量処分と3理事の辞任という悲しい結果で、角界は大きな節目を迎えることになった。