<大相撲技量審査場所>◇2日目◇9日◇東京・両国国技館

 FOMA、GAD、Xe…。ネット上では、力士のしこ名が、こんな風に表されることが多い。それぞれ、東前頭2枚目豊真将(30=錣山)、東前頭1枚目豪栄道(25=境川)、関脇稀勢の里(24=鳴戸)を意味する。

 技量審査場所は「本場所でないから」という理由で、NHKの中継がない。その代わりに、ネットの世界が熱くなっている。

 日本相撲協会は、公式サイトなどで映像を配信しているが、中でも「ニコニコ動画(通称・ニコ動)」が妙に盛り上がっている。ニコ動は、視聴者が映像にコメントを付けられるため、反応がすぐに分かるのだ。

 2日目、最も反響が多かった取組の1つが、魁皇-豊ノ島戦。魁皇が勝つと「よーし今日は強い相撲だ」「すげえええええええ」などのコメントで、画面が埋め尽くされた。この日、来場者は12万969人、コメントは12万9526件も寄せられた。

 今回の企画は、ファン拡大の可能性を秘める。序二段の取組中「このへんだと行司もはだしなんだな」「仕切り線の後ろから立ち合いしてもいいんだ?」など、相撲観戦の初心者と思われる書き込みもあった。三段目になると「だんだん体格よくなってきた」という感想が書かれ、十両では「迫力が違うな」という具合。幕内になると「鶴竜は日本語がうまい」とか「把瑠都の嫁さん美人」などの裏情報も飛び出した。

 序ノ口から放送されるため、NHKでは中継されない三段目以下にとっては、多くの人に見てもらうチャンスでもある。東関親方(元前頭潮丸)は「力士の親はうれしいですよ。オレらも助かる。全部見られれば、的確にアドバイスできるし」と話していた。

 相撲協会のインターネットチームの大木正人氏は「これをきっかけに、直接見に来ていただきたい」と呼び掛ける。災い転じて福となす、かもしれない。【佐々木一郎】