<大相撲春場所>◇11日目◇21日◇大阪府立体育会館

 綱とりを目指す大関把瑠都(27=尾上)は、琴欧洲(29)に敗れ痛すぎる2敗目を喫した。横綱白鵬(27)、関脇鶴竜(26)がともに1敗をキープ。鶴竜との取組を終えている把瑠都の自力Vは消滅。綱とりには連続優勝が条件となるだけに、今日以降の4日間で1敗もできない厳しい状況に追い込まれた。

 綱とりも賜杯も遠くかすむ痛恨の1敗だ。把瑠都は琴欧洲の前に、見せ場さえ作れなかった。立ち合いでもろ差しを狙いに行くが、左前みつを取られる。苦し紛れに左を巻き替えにいったところを一気に押し切られた。土俵下で残りの取組を待つ間もうつむいたままの姿が、ショックの大きさを物語った。把瑠都は立ち合いでの迷いについて聞かれると「ちょっとあった」と認めた。「琴欧洲とがっぷり四つになりたくなかった。相手が左上手で来ることが頭になかった。足が出ていない。硬くなった」と振り返った。

 朝日山審判長(元大関大受)は「把瑠都は立ち合いでフワッとしていた。負けられないと意識してるんじゃないかな。星としては厳しくなった。千秋楽までもつれるのではないか」と語った。前日には横綱審議委員会の鶴田委員長が「13勝2敗の優勝でどうか。議論にはなる」と言ったように、1敗もできない崖っぷちに立たされてしまった。白鵬戦は残っているが、鶴竜戦は終わっている。11日目終了時点では自力優勝は消滅だ。

 初場所に続き、今場所も母ティーナさんを日本に呼ぶことを決めた。再度、母の前で賜杯を抱くためには、残り4日間白星を連ねるしかない。把瑠都は「頑張るしかないですね」と改めて決意した。心技体の強さを試される終盤戦で、横綱昇進に値する底力を見せるしかない。【高橋悟史】