<大相撲九州場所>◇初日◇10日◇福岡国際センター

 自身2度目の5場所連続の優勝に挑む横綱白鵬(28=宮城野)が、7年連続7度目の年間最多勝を決めた。西小結の隠岐の海(28)を押し出しで下して年間70勝目。北の湖に並ぶ歴代最多の7度目の年間最多勝となった。

 白鵬の今年の安定感を象徴する一番となった。隠岐の海相手に立ち合いで左上手は取れなかったが、慌てる姿は皆無。わずかに右を差し、体勢をさらに低くしながら前に出た。右腕をこじ入れると勝負は決した。最後は2本差して押し出し。21本の懸賞金を片手でわしづかみにした。

 今年70勝目で7年連続7度目の年間最多勝も決めた。56勝目を挙げた日馬富士、稀勢の里に大きな差をつけた。「今年の目標が1つ達成した感じ。積み重ねてきた1年1年は毎回違う流れ。しっかりとした体調管理をしないと、年間最多勝7年連続っていうのはできないでしょ」と自画自賛した。

 昨年から始めた、内側から体を変化させるという調整法が、身になってきている。杏林予防医学研究所(京都)の山田豊文所長から助言を受けて午前4時起床で散歩を始め、「朝日を浴びることで脳が活性化される。細胞がよみがえるようです」と体調のよさを実感している。さらに稽古中の基本運動の際に大きく吸って、大きく吐く「ウジャイ呼吸」を繰り返し、胸式呼吸で肺機能や呼吸機能を高めている。就寝前には、アロマのような「森林の香り」を吸引して集中力を高める。独自の方法で集中力の高さを計測する山田氏は「この1年で(集中力は)57点から98点に上昇した」と証言。「20年の東京五輪まで現役を続けることも可能。いい結果が出始めている」と太鼓判を押した。

 北の湖理事長は「負けられない気持ちがある。それが結果につながっている。ずばぬけていいんじゃないですか」と精神力をたたえる。九州場所7連覇と、元横綱大鵬しか達成していない2度目の5場所連続優勝へ好発進した。【鎌田直秀】