日本相撲協会が親方衆に年寄名跡証書の提出期限としている20日までに、複数の親方が提出できないことが18日、確実となった。協会は公益財団法人への移行を申請して組織の透明化を目指し、年寄名跡の一括管理を決めた。事情があって証書が手元にない一部の親方には、すでに協会幹部が聞き取り調査をしている。

 春日山親方(元前頭浜錦)は、昨年協会を退職した先代親方(元前頭春日富士)の岩永祥紀氏に名跡証書返還を求めて裁判で係争中。今年1月に部屋を継承した式秀親方(元前頭北桜)は、引き継ぎが円滑に行われておらず、証書は先代親方(元小結大潮)の波多野兼二氏が保持したままという。鳴戸親方(元前頭隆の鶴)は11年11月に先代親方(元横綱隆の里)の急逝にともない襲名。だが、先代親方夫人が現在も所有し、引き渡しに関する両者の話し合いは平行線が続いているという。

 提出できなかった親方には20日の理事会後に危機管理委員会が事情聴取を行うとみられる。当事者に重大な過失がない、名跡などの打開策を示せば、約1カ月の猶予期間を与える案もあるという。