大相撲で東前頭10枚目の逸ノ城(21=湊)が16日、埼玉県内の病院で、背部の帯状疱疹(ほうしん)の診断を受け、入院した。約7日間の入院、加療が必要なため、今日17日の神奈川・秦野市巡業から再開される秋巡業の休場も決定。回復具合によっては巡業後半に途中復帰する可能性はあるが、新関脇が濃厚な九州場所(11月9日初日、福岡国際センター)に向けて、大きな不安が発生した。

 逸ノ城の快進撃が病に止められた。日本相撲協会に「背部に発赤、水疱(すいほう)を認め、帯状疱疹で約7日間の入院加療を要する」との診断書を提出し、秋巡業の休場を決めた。秦野市巡業に備え、両国国技館を出発した師匠の湊親方(元前頭湊富士)は「患部はピリピリすると本人が言っている。疲れではなく、注目度のすごさからくるストレスが原因でしょう」と明かした。高熱などはなく、元気な様子だという。

 富山・高岡巡業を終え、13日夜に埼玉・川口市の湊部屋に帰宅。14日の朝、体調不良を訴えた。医師でもある親方夫人の三浦真さんの助言で入院先を探したが、近隣病院にベッドの空きがなく部屋で療養。ようやくこの日から入院先で、点滴治療なども開始した。真夫人は「関取は化膿(かのう)しやすいタイプなので、昨日よりは少し悪化している。うつるかもしれないので子どもとの触れ合いも出来ない。でも、1週間くらいで稽古が出来るくらいにはなると思う」と説明。回復状況によっては巡業後半から復帰の可能性もある。

 新入幕ながら秋場所で13勝を挙げた。優勝争いに加え、三賞を2つ獲得。秋巡業でも白鵬、遠藤らを上回る人気で主役だった。朝稽古では金星を奪った鶴竜にぶつかり稽古で連日胸を借り、厳しく鍛えられた。「横綱に稽古してもらうのもうれしいし、いろいろな人と稽古して力を付けたい」と充実していた中での病だった。巡業部の芝田山副部長(元横綱大乃国)にも「いないと寂しいよね。でも、出ちゃったものは仕方がない」と残念がられた。

 九州場所では初の上位総当たりが確実で、「怪物」のさらなる成長に期待が高まる。稽古を1週間以上休む調整不足が懸念されるが、試練を乗り越えられるかにも注目だ。【鎌田直秀】