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朝青龍「天敵」の前で連敗阻止／初場所
- 取組を終えた朝青龍は内館牧子委員（右）を横に花道を引き揚げる
＜大相撲初場所＞◇３日目◇１５日◇東京・両国国技館
横綱朝青龍（２７＝高砂）が「天敵」の目の前で連敗を阻止した。横綱審議委員会（横審）の内館牧子委員（５９＝脚本家）がこの日も来場。西のたまり席と至近距離で観戦する同委員をにらみつけながら、西前頭筆頭の時天空（２８）を寄り切った。自らの批判を繰り返してきた同委員に強さを見せつけ、支度部屋では今場所初めて笑顔を見せた。全勝は横綱白鵬（２２）関脇安美錦（２９）平幕旭天鵬（３３）普天王（２７）の４人になった。
土俵入りのときから、朝青龍の視野にその顔は入った。西の花道の最前列に陣取っていた内館委員だ。前日は来場したとたん、ぶざまな負けを喫した。連敗すれば「休場」の声も上がりかねない一番を前に、至近距離からプレッシャーをかけるような位置取りだ。
内館委員 １度、こちらから見てみたかったので。そういえば朝青龍がいましたね。
正面たまり席を持っている同委員だが、チケットをわざわざ知人と交換して、移動していた。
朝青龍も「私の中では引退した人」などと自らを批判してきた「天敵」を、塩を取りに戻るたびに、鋭い目つきでにらみつけた。同委員は周囲のお客さんから「にらまれてますよ」と声をかけられたが、まったくひるまない。
内館委員 気がつきませんでした。私はド近眼で、視力が０・０１くらいしかないんです。そういえば周りの方が「こわ～い」と言ってました。あんなステキな人に意識されて、うれしいですね。
とぼけっぷりでは、朝青龍も負けていない。「内館委員が来てましたね」の問いに、「本当に？ どこにいたの？ 見てないよ」。それでも次第に同委員の顔を思い出したのか、質問した記者をにらみつけ、語気を荒らげた。
朝青龍 相撲取ってるのに、いちいち見ないよ！ 相手のことで精いっぱいなんだよ！
重圧をパワーに代えるように、張り差しから左、右と差し、一気に時天空を寄り切った。４秒２の連敗阻止相撲に「とにかく速い相撲を取りたいね」とうなずいた。
取り口に満足したのか、「天敵」に白星を見せつけて満足したのか、今場所初めて笑顔も見せた。風呂上り、笑顔のカメラマンと見詰め合うと「青春時代を思い出したよ」。意味不明のコメントとともにニッコリ。舌も滑らかで、風邪で前夜は往診した医者に１時間の点滴を打ってもらったが「夕食はステーキ、３枚で２キロ食べた。肉パワーだ」と、体調不良とは思えぬ食欲まで明かした。
内館委員は「（朝青龍は）まだ長い相撲を取ってませんから。あさってからまた来ますよ」と“再戦”を予告し引き揚げた。「まだ始まったばかりだからね」と朝青龍。土俵内外の戦いは、まだまだ続く。【近間康隆】
［2008年1月16日8時58分 紙面から］
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