<ピンポン・ニッポン>

 「エイチ・アイ・エス

 2009年世界卓球選手権横浜大会」が28日、横浜アリーナで開幕する。日本開催は8年ぶり6度目。今回は個人戦のみが行われる。大会オフィシャルペーパーの日刊スポーツでは22日から「ピンポン・ニッポン」と題し、日本代表選手を紹介していく。第1回は7年連続出場の女子の福原愛(20=ANA)。「14歳の自分には負けたくない」と、初出場の03年大会で進出したシングルス8強以上を目標にしている。

 北京五輪から約8カ月。福原は長期のオフも取らず世界選手権にかけてきた。最近はみけんにしわを寄せるような表情が消え、充実感を漂わせている。「自己最高成績を超えたい。14歳の自分には負けたくないです」。具体的な目標を掲げることが少なかった以前とは違う。

 世界選手権は03年に当時史上最年少の14歳6カ月で初出場。シングルスで日本女子14年ぶりの8強進出を果たした。しかし、それ以降の世界選手権の個人戦は32強止まりで、04年アテネ五輪は16強。14歳の時の成績を超えられていない。4月発表の最新の世界ランクは31位で、19位の平野早矢香に4年ぶりに日本最上位を譲った。

 それでも父武彦氏は「これまでのものを1度ぶっ壊した。世界ランクが落ちるのは想定内」という。1発の強打で仕留めようとしていた癖をなくし、連打で畳みかけるスタイルに変えようとしている。北京五輪後、目先の勝利にこだわらず、フォーム修正に重点を置いて、フォアの強化と、カットマンら苦手タイプの対策を重ねた。多い日は朝、昼、夜と3部練習で1日8時間もラケットを振った。

 1カ月前から本格的な筋力強化も始めた。成長期の体に負担をかけたくないと避けてきた、器具を使った練習を連日30分~1時間続けた。「腕が硬くなって180グラムぐらいのラケットを持っていないような感じ」と効果は出始めている。12日の日本リーグ・ビッグトーナメント(大阪)では平野にストレート勝ちした。

 2年前から管理栄養士の助言を受け、遠征に鍋を持ち込んだり、カロリー控えめのケーキを自分で作るなど食事に対する意識も高い。「常に世界選手権を意識した練習ができた。不思議と不安はありません」。

 初めて迎える地元開催の世界大会。平常心でメダル獲得に挑む。【高田文太】