<5月5日更新>

シドニー五輪の最終兵器 新四番 廣瀬

 一年前、彼がこのような大物になると誰が予想しただろう。昨春六大学史上9人目の三冠王に輝き、いまや法大の大黒柱に成長した廣瀬純(営四)。新チームでは4番を務め、充実の最終学年を迎えた。シドニー五輪を控えたこの春、この男が神宮で爆発する。

新四番

 昨秋のリーグ戦、法大は深刻な打撃不振に悩んだ。最小得点を投手陣の踏ん張りで勝ちを拾う苦しい展開に最後は力尽き、立大に優勝をさらわれた。
 出塁率の高い廣瀬はこのシーズン一番を任されたが、「あれは正直苦し紛れの起用だった」(監督)というように打線は核が定まらず、あと一本が出ずに終わった。
 そこで今年は廣瀬が四番に座り、阿部(文四)との最強の三・四番コンビを組む。
 「今の廣瀬は十分四番の資質を持っている」(監督)と周囲の評価も高いものとなっており、本人も「打順は気にしないが、前に阿部がいると打ちやすい」と自信をのぞかせている。
 彼が活躍すれば自然と優勝にも近づいてくるだろう。鍵はやはりこの男が握っているようだ。

五輪の星

 今年は五輪の年でもある。法大からは廣瀬と阿部が五輪候補に挙がっている。
 先日台湾で行われた四カ国対抗戦でも、その存在感を十分に見せた。
 廣瀬は日本代表として出場し、見事首位打者を獲得する活躍だった。これは世界の強豪相手にも十分力が通用することを証明した形だ。本番ではプロも加わるため代表に残ることは容易ではないが、廣瀬の三拍子揃ったスタイルは魅力的であり、十分戦力としてやっていけるだろう。
 ただ問題も抱えている。それは五輪がリーグ戦と重なってしまうことだ。「出れるものなら出たい」と胸の内を明かすが、キャプテンとして複雑な心境をのぞかせる。監督は「優秀な選手の中で学んだことを持ち帰ってくれれば、全体のレベルUPにもつながる。個人的には行かせたい」と前向きな姿勢を見せており、サポート体制は出来ている。そして我々も世界も檜舞台で大暴れする彼の姿をぜひ見てみたい。

新しい伝説

 昨年は山中監督就任以来初めて優勝のない春・秋シーズンとなった。今まで当たり前のように栄光を勝ち取ってきた男達には辛酸をなめる思いだっただろう。
 四年生となり、高校の大先輩でもある監督の胴上げを実現させ、その中心にいたいと一番願っているのは廣瀬ではないか。
 大学野球を「覇権奪還」という形で完結させ、新たな『廣瀬純伝説』を造り上げていく道は今始まったばかりだが、進化しつづけるこの男には底なしの可能性を感じずにはいられない
(水口 将伊)

 廣瀬純(ひろせじゅん)181cm・86kg、右投右打。昭和54年3月29日生まれ。大分佐伯鶴城高校出身。小3の時上北スポーツ少年団で野球を始め、高3の夏甲子園に出場。〔リーグ戦通算成績〕打率・352、本塁打5、打点16(3年時まで)〔目標とする選手〕秋山幸二(福岡ダイエーホークス)

ゴールデングラブ 阿部

 今季、3季ぶりのVを目指す法大。その中心になるのが阿部真宏(文四)である。走攻守三拍子揃いプロ注目の阿部にとって今シーズンはまさに“勝負の年”になる。そんな彼にスポットを当ててみた。

 法大が3季ぶりの美酒を味わうためにはこの男の活躍が絶対条件なのではなかろうか。そうその男とは阿部真宏のことである。

 阿部は横浜高校3年時、春夏連続して甲子園に出場。さらに高校日本代表の実績を引っさげ法大野球部の門を叩いた。

 入学後は1年春から広い守備範囲と勝負強い打撃を武器にして層の厚い法大内野陣の中でベンチ入りを果たし、2年春以降はチームの4番を任されるまでに成長。そしてその年の秋には首位打者を獲得しチームの優勝に大きく成長することになる。昨年、その実績が認められ日本代表候補に選ばれ、春にはプロのキャンプにも参加。夏にはシドニー五輪予選日本代表としてプロ選手とともにアジアの強豪国と五輪切符を争い、見事に本選出場を決めた。

 そんな中で昨秋のリーグ戦ではその実績を手みやげに大きな飛躍が期待されたシーズンだった。代表とチームの過密日程の練習不足からか思うように結果が残せない。チームも4番が打てないのではなかなか勝てない。そんな悪循環でチームは最終節の明大戦で勝ち点を落とし、立大に優勝を奪われ、阿部自身も大学生活始まって以来の不振にあえぎ、「笑えないよ」という打率・184、本塁打0、打点3という全く不本意な成績に終わってしまった。

 だからこそ今春のリーグ戦に懸ける想いは人一倍強いものがある。ましてや最上級生になり副将にも指名された。チーム一の経験を持ち、リーダーとしてチームを引っ張っていかなければならないのは本人が一番分かっている。

 今年も昨年に続きプロのキャンプに参加。しかし今年は去年と違い心に余裕があるからなのか「去年は『体つきが違う』といった感じで圧倒された。でも今年は『普通かな』といた感じだった。だから変な緊張みたいなものもなくうまくいった」といった成長を伺わせるような発言も出るようになった。その結果、考え方や技術的なことなど多くのことを学んだ。

 また、プロ注目の大型内野手の阿部にとって、今シーズンの活躍次第で彼自身の“今後”も変わっていきそうだ。ただ状況はそう簡単ではない。今年の六大学は近年稀にみる好投手揃い。早大の鎌田、慶大の山本、中村、立大の上野といった力のある投手が数多くいる。いくら好打者・阿部でも苦しむことも出てくるだろう。しかし逆に考えれば、これらの投手を打ち込むことができれば必然的に阿部自身の評価も上がることになるのである。そしてそれは自身の目標でもある「優勝したい。そのためには自分自身の成績を上げなければならない。やっぱり野球は打たなきゃ面白くない。目指せ10割で!」に自然につながってくるのである。

 この男が神宮を舞台に暴れまわるとき、法大は間違いなく3季ぶりの美酒を味わうことができるだろう。

(田崎 弘幸)

 阿部真宏(あべ・まさひろ)180cm、78kg。右投右打。横浜高出身。(通算成績)57試合、打率・289、本塁打4、打点36。‘98秋首位打者獲得

スポ法の野球部ミレニアム診断

 山中監督就任6年目にして始めて春秋を通じ優勝を逃した昨年。「覇権奪還」を合言葉に戦いに挑む2000年の法大野球部をスポ法の目から分析してみた。

投手編

 今年の法大の最大の弱点は投手陣だと言われている。実績があるのは前嶋広和(文四)だけ。あとの投手は勝ち星の経験がない。もう1つの先発の椅子はまだ確定していない。
 ここで候補に上がるのが140`超の直球が魅力の藤井了(法三)だ。リーグ戦での登板経験はないが、昨秋の新人戦では好投を見せている。今春のオープン戦でも防御率1点台(3月26日現在)となかなかの仕上がりぶりだ。

 また、オープン戦では若手の台頭が目立つ。2年生では土居龍太郎(営二)、亀川裕之(文二)、大泉友人(法二)の三人。土居は昨春に神宮デビューを果たしたが思うように結果が残せず、秋は登板なしに終わった。だが今年は、フォームを上手投げからやや横手に換え制球力が増し安定感が出てきた。もともとスライダーは一級品。本来の力を発揮できればかなりの活躍が期待できる。亀川、大泉の両左腕もオープン戦では好投。両投手とも上背があり打者にとっては角度のある球は脅威になる。また、一年生ながら神宮デビューを果たしそうなのが松本祥平(法一)。変化球に多少のばらつきが見られるが直球は魅力十分。マウンド度胸もよい。

 現在、エースの前嶋の調子が上がらず先発当確ではない。また、期待の山本隆之(営三)奈須耕一(法二)が出遅れている。投手陣は横一線。全員にチャンスがある。今季の鍵は山中監督の采配にある。

野手編

 打線は昨年同様、六大学No.1といっても過言ではない。特に中軸の阿部真宏(文四)、廣瀬純(営四)のシドニー五輪代表候補の2人は他大学には脅威。さらに今季1番が予想される多井清人(営三)もバッティングセンスには定評がありかなりの出塁率が期待される。

 また、内野は激しい定位置争いが繰り広げられている。監督が「最も成長していて高レベルな競争」という捕手は浅井良(法三)北原直也(営三)。二塁手は副将・住吉友貴(営四)、北川利之(文四)、須田博之(済四)、澤村幸明(営二)の4人がひしめく。中でも澤村の成長が目立つ。三塁手は昨秋4番を務めた事もある佐藤隆彦(法四)と強打者清水昭秀(文三)。どちらも甲乙つけ難い。しかし、両者とも故障で開幕は微妙。後藤武敏(文二)が入ることも予想される。

 外野も廣瀬以外は決まっておらず、長打力のある日橋広和、土子貴裕(ともに文四)や俊足の井上耕二(法四)、南建三(法三)などが2つのポジションを争う。

総評

 「今年のうちの投手力は万全でない。今年は打ち勝つ野球になる。その中で投手が育つのが理想。このようなことをあえて言うのは投手陣の発奮を期待しているから」(監督)。今年の六大学は他大に好投手が揃っていて苦戦を強いられることになるだろう。しかし今年の法大はそれに負けない強力打線だ。投手陣も潜在能力は素晴らしい。「覇権奪還」へ、法大野球部の2000年代最初の戦いが始まる。
(田尻耕太郎)


ラグビー部、日本一へ猪突猛進!

新体制

 昨年の大学選手権一回戦・慶大戦で流した悔し涙から、はや3ヶ月。リーグ戦5位、選手権一回戦敗退という昨季の屈辱を胸に、法大フィフティーンがグラウンドに戻ってきた。今季は夏まで特定の主将を置かず、1週間ごとに各ポジションでリーダーを選出するというユニークな人選を採用。これは「キャプテンの苦しみを4年生みんなにわかってもらい、より強固なチームの結束をはかるため」と武村監督が提案したもので、最終的には首脳陣、選手双方の意見を反映して夏までに主将を決定するというもの。新コーチとして日新製鋼元ヘッドコーチ山本寛OBを迎えるなど、新たな体制でスタートをきった。

勝負の年

 今季のチームはFL山口、SO川合、CTB西村など数人の主力が抜けたものの、昨季が2、3年生中心の若いチームであったため、幸い大きな戦力ダウンはみられない。先日、日本代表候補にも選出された法大不動のツインタワーLO平塚・熊谷や、昨年からレギュラーに定着したPR神宮寺、FL島田、WTB栗原らも残っており、他の選手の経験も考慮すれば、むしろ大幅な戦力アップが期待出来る。新たに1部に昇格した東海大などが加わり、例年以上の大混戦が予想されている今季の関東大学リーグ戦だが、法大には優勝を狙える素材が充分揃っていると言えるだろう。

 「大学最後の年となり、今まで以上に勝ちたい気持ちは強い。日本一を狙える力はある」いつもは控えめなLO平塚が言えば、熊谷も「正月を実家で過ごすのはもういい。なんとしても正月を国立のグラウンドで迎えたい」と語り、選手達のモチベーションも高い。特にラストイヤーとなる4年生達の今年にかける思いは相当なものがあるようだ。

日本一へ

 思えば法大が大学日本一の栄冠に輝いたのはもう8年も前のこと。以来ずっと選手権では不本意な成績が続いている。それだけに「結果を出さなければならない今季は、一戦々々が勝負。相手がどこであろうと挑戦者の気持ちで試合に臨む」と武村監督も今から気を引き締めている。かねてから掲げている法政ラグビーのテーマ「リズム・テンポ・スピード」は完成の形をみるのか。日本一を目指すだけの戦力は整っているだけに、ここは武村監督以下首脳陣の手腕にも期待したい。

「練習でも試合でも自分らの力を全部出していけば、おのずと結果はついてくるはず」(平塚)。平塚、熊谷のジャパンコンビを中心とした新生法大ラグビー部は、リーグ戦王者奪回、そして悲願の大学選手権制覇へとつづく道を、今確実に歩み始めた。


アメフト部、日本一請負人 志賀主将

 6年連続で大学日本一決定戦・甲子園ボウルにコマを進めながら、まだ一度も単独勝利を手にしていない法大トマホークス。なんとしても「今年こそ単独勝利を」という悲願をつかむため、そのチームの舵取りを託されたのが志賀隆蔵だ。志賀は日大三高時代、主将としてチームを日本一に導き、法大でも一年時からスターターとして活躍。それ故チーム事情や造り方もよく知る、いわば優勝請負人だ。

 だが彼は当初「自分が主将になるとは思ってなかった」ようでとまどったらしい。しかし「歴代の主将の方々に少しでも近づきたい」と、控えめながらもしっかりと語ってくれたその口調には並々ならぬ意気込みが感じられた。

 今年のチームは昨年の主力であったQB木目田、UB堀田、LT丹司などのビックネームがごっそりと抜けた。そのため大幅な戦力ダウンが叫ばれ、チームにも危機感が漂っている。志賀はそのようなチームにどういった考えを抱いているのであろうか。

 「たしかに四年生が抜けた穴は大きいが、反面新しいメンバーで(チームを)一から造っていけるので、楽しみ」と語ってくれた。そして彼は今年のスローガンとして「挑戦〜勝利への団結〜」を掲げる。これは部員達からアンケートをし「スパースター不在なので、こういうときこそ全学年がしっかりとまとまりたい」(志賀)と彼が考えたものだ。

そしてライバルとなる他の関東勢、天敵でもある関西勢にはどういう思いがあるのだろうか。「関東勢に対して(自分たちが)王者であるというイメージは全くない。周りはそういうイメージをもっているが、自分たちはもっていない。関西勢は“勝利への貧欲さ”という点で、かなり意識の違いがある」

 そんな強力なライバル達に対して、彼はどのようにチームづくりを進めていくのだろうか。「去年は一本目(レギュラー)と二本目(リザーブ)にかなりの差があった。今年はその差を小さくしたい。全体の底上げをして誰が出場しても遜色ないようにする。そうしないと、ケガ人が出た時(チーム力が)落ちてしまう」

 最後に今年の一年の抱負を語ってもらった。 「一年生から四年生まで全員が楽しくやりたい。サークルの様に聞こえるが、スポーツはそれが一番。それに下級生の声も聞きたい。四年生だけでは何もできないですから」 これまでとは全く違う状況で船出したトマホークス。幾多の荒波が押し寄せるだろうが、志賀の話には七年越しの夢への執念があった。

(西岡良修)


バスケ部キャプテン
瀧川隆司’s BASKETBALL HISTORY

 PGというチームの司令塔と、法大バスケ部を率いるキャプテンという役割を持つ瀧川隆司。絶妙なアシストを繰り出す彼は、念願の1部昇格へのアシストさえも期待させる。華々しく見える彼のバスケ人生について伺ってみた。

小学校時代

   バスケの道が開かれたのは小学校3年生の時だった。「スポーツ少年団」というバスケットボールクラブが始まり。そこでは人生の厳しさを知らされることになった。「よく平手打ちされた」と彼が苦々しく語るように、そのクラブには熱血コーチがいたのである。「やめようと思った」とバスケ人生に早くもピリオドが打たれるのを阻止してくれたのは、やめようとしたら平手打ちされるのかもしれないという恐怖心からだった。

中学校時代

 中学校時代は黄金時代。瀧川が入った五ツ橋中学校は、たまたま地元のうまい選手が集まるという偶然もあって、宮城県内では敵無しの強さを誇るようになった。五ツ橋中学は勝ちあがり中学総体に出場。そこで瀧川は、二戸選手(後の法大主将)のプレーに目を奪われていた。

高校時代

 瀧川は憧れていた二戸選手と同じ仙台高校へと進学する。入学した彼を迎えたものは、強烈な衝撃だった。体育館の扉を開けた瀧川の目に飛び込んできたのは、涙まじりにダッシュしているニ戸選手だった。その涙の理由は身をもって理解することになる。名門校あるゆえに想像を絶する厳しい練習が待っていたのだ。その環境に耐え抜いた末、瀧川の能力はさらに開花され1年の時から試合に出場する機会に恵まれた。しかし、栄光と挫折は紙一重。瀧川にも苦悩の時が訪れた。高校2年12月のウィンターカップ・準決勝で大怪我を負ったのだ。大腿筋断裂―。太ももの筋肉を切ってしまったのだ。バスケ選手にとっては致命傷となる怪我である。次の決勝戦では王者・能代工と対戦するはずだった。急遽訪れた3ヶ月の松葉杖生活と、3ヶ月のリハビリ生活。“打倒能代”その思いがつらい日々を支えになっていた。怪我から復帰し瀧川は、3年生でキャプテンになった。仙台高校は全国大会で昨年に続き準決勝に進出。ついに念願の能代工戦までコマを進めた。昨年果たせなかった思いをぶつける機会を1年かけてつかんだのだ。しかしながら、王者の壁はやはり厚く、破ることはできなかった。

大学時代

 瀧川は再びニ戸選手を追うようにして法大に入学した。「こんなのでいいのか…」ふともらした言葉が全てを語るように、法大の練習雰囲気には覇気がなかった。そんな環境を一新させたのがその年に就任した梅津コーチだった。「やりやすくなった」と瀧川が語るように、新たにスタートをきった法大バスケ部は1年後、戦績を確実に伸ばしていった。しかしながら、翌年はこれが逆効果にはたらいてしまった。「どこかに強くなたのだはないかという甘えがあった」瀧川がもらしたこの気持ちはチーム全員の気持ちでもあるだろう。結果、法大の勢いは衰え戦績は急降下してしまった。そして、今年キャプテンになった瀧川は昨年を反省しつつも「もっとバスケを楽しんで、目標である1部昇格を果たしたい」とバスケをやる楽しさで慢心をかき消すという彼らしい考え方で抱負を語った。瀧川のバスケの道はこれからも続いていく。
(田中耕介)


陸上部 走れ、為末!シドニーに向かって

 法大陸上部短距離のエース・為末。彼は5月、自分の夢を懸け一つのレースに挑もうとしている。それh、あ9月から行われるシドニーオリンピックの代表を決める選考レースである。

 為末が“オリンピック出場”という夢を抱き始めたのは、奇しくも今回のオリンピックの開催地シドニーで行われた世界ジュニア選手権に高3の時に出場したのがきっかけであった。為末はこの大会で世界のトップレベルの走りに刺激を受け、世界を目指すようになり、オリンピック出場の夢を掲げるに至ったわけである。このように4年前から為末とシドニーの間にちょっとした縁があった。

 だが、そんな偶然だけでなく為末にとってシドニーはそれほど遠い存在ではない。昨年5月での関東インカレ同9月に行われた全日本インカレの2つの大会での優勝と、その卓越した実力でシドニーへの道を自分自身で切り開く力を為末は十二分に持っていると言ってよい。為末は「400mHにはOBの苅部さんなど実力者が多い。でも、実力には自信があるし、調整も順調に進んでいる。オリンピック出場の自信はあります」大願成就を懸けたレースに万全の態勢で臨めそうである。

 最後に為末は「オリンピックに出たら全力を出して頑張りますのでテレビの前で応援宜しくお願いします」と笑顔で話してくれた。

 シドニーオリンピック開幕まであと5ヶ月。為末は、自分自身の夢が生まれた地・シドニーに4年ぶりに降り立とうとしている。

(佐久間利幸)

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