スポーツ法政 01’6月号

東京六大学野球 全員野球でV40

 確かに自分たちの手でつかんだ栄冠。一度は遠ざかった夢だった。しかし再び巡ってきたチャンスをしっかりとたぐりよせ、そしてモノにした。幾度もの接戦に耐え続けてきた選手たちの手に黄金の優勝杯は渡った。

直接対決

最終節となった立大戦。勝ち点を挙げたほうが優勝という最高の舞台。決戦は火曜日、1勝1敗で迎えた第3戦だった。「先取点を取ることがポイントになるだろう」。前日の試合後こう語った山中監督の思惑通り、法大は初回に2点を先制する。それ以降は両者とも何度か得点圏に走者を進めるものの、法大・土居(営3)、立大・多田野の両エースが互いにあと一本を許さない気迫のピッチング。2−0で熱戦を制し、40度目のリーグ優勝を飾った。
本当に苦しい戦いの連続だった。東大戦を除く11試合での平均得点は2・6点。打撃陣は各校の好投手に完全に抑えこまれ極度の不振に陥る。最初のヤマとなった早大戦で勝ち点を落とし、続く明大には連勝したがいまいち波に乗りきれない。そんなチームを支えていたのは投手陣だった。

二本目の柱

「今日の投球は大きな自信になった」。慶大2回戦終了後、奈須耕一(法3)はハッキリと言い切った。負けたら優勝はない、という背水の陣で臨んだこの試合。マウンドを託されたのは奈須だった。この上ない緊張とプレッシャーの中、「今までで一番調子がよかった」という最高の投球で初完投勝利。打線が沈黙する中で投手陣の頑張りが期待されたが、エース土居と共にチームを支え、今季のカギになるとされた二本目の柱へと成長した。

結束力

気持ちを新たに迎えた大学選手権。初戦の広島経済大に2−0、準々決勝の北海道東海大に4−2で勝ったが、準決勝の東海大戦では失策絡みで2点を取るのが精一杯。頼みの綱であった投手陣も揃って打ち込まれ、日本一の夢は無残にも絶たれてしまった。
リーグ優勝はしたが、精神面の強化など克服すべき課題が残るシーズンでもあった。しかし、今季培った結束力はなくしてほしくない。チームの主砲・後藤(文3)がもがいている時、浅井(法4)が、多井(営4)が、清水(文4)が打った。一番・河野(営3)は仲間を信じて出塁し続けた。エース土居の調子が上がらない時、奈須が踏ん張った。チーム内の熾烈な争いから一歩抜け出た人見(営3)、長崎(営3)、伊藤(営3)がチャンスでチームに貢献した。そして最後はエースと主砲で締めた―。
まさに“チーム一丸”で戦った今季。課題を克服した秋には、どれほど強いチームになっているのだろうか。

(奥野 智子)


河野 頭角現す

切り込み隊長

「いろいろな経験をすることができて、大きな財産となった。」と、今季を振り返る河野友軌外野手。1番打者として、全試合に先発出場し、47打数17安打6打点3盗塁、打率3割6分2厘。見事な成績を残した。また法大はここ数年1番打者を固定できずにいただけに、優勝への貢献度は高いといえるだろう。
河野は、公式戦初出場となる対東大1回戦から2回戦にかけて、いきなり7打席連続出塁を記録。対明大1回戦では7回、二死2・3塁から逆転の二点適時二塁打を放つ。対慶大3回戦では同点で迎えた9回、一死満塁から右前にサヨナラ安打を打った。先頭打者として出塁するだけでなく、大事な場面での勝負強さも見せつけた。

がむしゃらに

「常に思い切り振ることだけを心がけている」という河野。初球から積極的に打ちにいき、追い込まれたらより一層ボールにくらいついていく。そんな姿勢が好結果につながったようだ。その象徴的な場面は対早大1回戦で見られた。6回一死で打席に立ったが、早大・和田に対して簡単に2ストライクと追い込まれてしまう。だが、ここから4球連続ファウルで粘り、結局11球投げさせて四球を選んだ。これで和田はリズムを崩し、法大の逆転勝ちにつながった。

努力

 ここまでの道程は決して平坦ではなかった。河野は入学当初は捕手だった。しかし、「一つ上の代に好選手がたくさんいた」(河野)ということで2年時に自ら外野手転向を直訴した。捕手と外野手の本質的な違いに戸惑いながらも必死に練習を続けていたが、右肩を痛めてしまい、この年の大半を棒に振ることになった。それでも腐ることなく努力し、怪我が癒えた今年にチャンスをもらい、それを確実にものにして現在に至るのである。
 その河野はもちろん、全日本選手権での活躍も期待された。しかし、初戦の試合の前日(16日)にぎっくり腰をおこしてしまい、今大会は試合に出場することはできなかった。本人が一番悔しかったに違いない。これを楯に、秋季リーグでもはつらつとしたプレーをみせてくれることだろう。

(斎藤 修一)


関東インカレ 4種目制す!!

学生トップアスリートの称号は、やはりこの2人のものだった。関東インカレにおいて、徳本一善(社4)が1500bと5000bで、邑木隆二(経4)が400bでそれぞれタイトルを獲得。法大は110H優勝の内藤と合わせて4種目を制覇した。

エースの貫禄

常に怪我と隣り合わせの練習をしてきたからだろうか。箱根駅伝から約2ヵ月後、徳本はジョギングも出来ないほどの故障に見舞われる。走れない間は水泳や自転車によるトレーニングに励み、6、7月の競技復帰を目指してきた。
 しかし5月、徳本は関東インカレのスタートラインに立つ。故障明けを全く感じさせない素晴らしい走りで、1500bでは3分44秒06の大会新記録で優勝。「狙って勝ちにいった」5000bでも優勝し二冠を達成、その存在を知らしめた。
 全く走れなかった時期は焦りもあった。加えて"勝って当たり前""学生長距離界のエース"というプレッシャーも感じていただろう。しかし「走ってみると去年より力はついたし、故障前と比べて走りが安定した」のだという。故障は決してマイナス要素ではない。それを乗り越えれば必ず成長するのだということを示してくれるレースだった。

ついに頂点へ

400bの予選、電光掲示板に表示された邑木のタイムは45秒88。余裕を持ってゴールしながらも自身初の45秒台を記録し、核の違いを見せつけた。しかし、決勝に名を連ねた選手の中では山村貴彦(日大)と共に抜きん出た存在。それがプレッシャーとなって守りに入ってしまうのを怖れていた。だがスタートすると終始力強いレースを展開。後続を寄せつけず、インカレ初優勝を手にした。
 今年2月の日中対抗室内大会で3連勝して以来好調を維持。4×400bリレー要員ではあるが、8月の世界選手権出場も決定した。長年の間山村の背中を追い続けてきた邑木が、世界の舞台に立つ時は刻一刻と近づいている。

上級生に続け

シドニー五輪代表の為末・川畑の穴を埋めることはできるのか−。今年のインカレではその危機感があった。「上級生たちについては問題ないが、それに続く下級生が少ないのが課題」と成田監督は語る。長距離においては5000b5位の黒田(社2)、3000b障害6位の中矢(社1)をはじめ、次の芽が出てきている。しかし、短距離は日頃のトレーニング不足も影響して、上級生と下級生の実力差が目立ってしまっているのが現状。来年はインカレ2部降格の可能性も考えられる。少人数制だが、法大陸上部は徳本、邑木、内藤という日本でもトップレベルの選手がいる恵まれた環境だ。彼らの未来は個々の意識がどれだけ向上するかにかかっている。

(望月 春香)


サッカー部 一部昇格誓う 堂々首位ターン!

韓国、日本共催のサッカーW杯まで残り一年。日本代表選手の活躍に負けじと大学生も激しく熱いプレーを繰り広げている。第75回関東大学サッカーリーグ戦は今年から春・秋の二期制にリニューアル。法大は途中、3連勝を含む安定した力を発揮し1部昇格を視界にとらえる好位置につけた。

「厳しい試合が続くので、選手達にとっては良い体験となる」、二期制という未体験ゾーンへ踏み込む指揮官の視線は鋭い。就任4年目を迎えた横谷監督は現役時代、日本代表も務めた名DFであった。現4年生の入学時から指揮をとっているだけに、その戦術は円熟期を迎えようとしている。法大のDF力、本物だ。
今季7試合中、完封試合は4つを数える。主将の柳沢(社4)を中心とした4バックは、しっかりとした連携がとれていて易々とは相手に仕事をさせない。第6節、不運なPKを含む3失点は許したものの、安定した守備が好調の要因なのだ。
前期を終え1部昇格を争う長丁場はいよいよ佳境の秋リーグへ。柳沢、副将の大河(社4)らの4年生に加え、指令塔の長山(社2)、決定力のあるFW林(経2)ら下級生の力も合わさりチームは1つにまとまっている。1部昇格というゴールも視野に入った。戦いを終え、そのゴールを決めた時、厳しい試合を乗り越えた戦士達の顔は笑顔に変わるに違いない。

(鈴木 優介)


バスケ部 橋元大 中での期待"大"

コーチがインサイドでの得点とリバウンドを期待しているのがF橋元(法3)。外中心に攻める法大だが、「1部で戦っていくにはインサイドの強化が必要」とコーチ。しかし、188cmとインサイドのプレーヤーとしてはけっして大きくはない。常に自分より大きい相手と戦っているのだ。「相手と同じことをしても体格の差が出てしまい、きつい。リバウンドは相手にとらせないようにして、味方に楽にとらせるようにもしている」と対策も考えている。そして守りの時や味方がいいプレーをした時、必ず声を出しチームを鼓舞する。インサイドのプレーは3点シュートのような派手さのない、一見、地味なプレーだが、これがチームの勝利のためには重要だ。「まだ波があるので安定してプレーしたい」と課題はあるものの、安定してインサイドでプレーすることが、目標のリーグ上位進出には不可欠である。

(高坂 知永)


熱い思いを多摩に込めて

 法大テニス部が、今ここに新たなる歴史を刻むべくスタートを切った。5月に代替わりがあり、新主将に松永一紀(社3)−愛称カズ−が選ばれた。当初、その責任の重さから戸惑いもあったようだが、 今はもう吹っ切れた様子。「なったからにはやるしかない。部員とコミュニケーションを取りながらうまくやっていきたい」と本人も言う。実力の方はというとこれがすごい。高校2年時にして大阪なみはや国体で優勝を飾っている。伝統ある法大テニス部に鳴り物入りで入学してきたのだ。長身から繰り出されるサーブは威力十分。MAX195キロというから驚きだ。5月14日〜20日に昭和の森テニスコートで行われた関東学生テニストーナメントではダブルスで第3位、シングルスではベスト16に入り、8月に行われるインカレの出場権を獲得した。
 テニス部は日頃、多摩キャンパスの体育棟で練習を行っている。その多摩にはテニスサークルが数え切れないほどある。ということはテニスに興味がある人は無数にいるはず。そんな人達にもっと 松永の活躍を注目して欲しい。いや彼らだけでなく全ての法大生に多摩にはこんなすごい奴がいるということを知って欲しい、そして応援して欲しい。だからもし、学食や授業で彼を見かけたら声を掛けてやって欲しい。「頑張れ、カズ!!」

(蔵方 佑介)


ヨットとっと夏だゼ!

 ヨット競技は470級とスナイプ級というふたつの級で行われる。470級はその名のとおり艇の長さが470aであり、帆の数は3枚でスナイプ級より速度が速い。スナイプ級は帆の数が2枚で470級に比べて操作しやすい。
法大ヨット部は昨年の全日本インカレ(広島)では男子470級を制し、見事日本一に輝いた。実は隠れた名門なのだ。その勢いのままに今季初戦・関東インカレの舞台であるヨットの聖域・葉山の森戸海岸へと乗り込んだ。しかし、「今日は風が弱いなあ・・・」(地元の住民)という難しい状況下でのレースに苦しみ、男子は470級・スナイプ級ともに5位、ふたつの総合ポイントでは6位と低迷した。しかし女子は470級・スナイプ級でともに2位で総合ポイントも2位と健闘した。主将の榮樂(法4)は「春の結果はこんなもの。夏を越して秋には全日本(インカレ)のタイトルを狙いたい」と語った。
 ヨット部は今年創部66年。日本一になるくらいだからすごい実績を持つ人ばかりと思いきや、部員は男女ともにスポーツ推薦入学者から一般入学の未経験者までさまざま。活動場所は主に八景島の海で、男女が一緒に練習していることからとてもアットホームな雰囲気。このようにヨット部は部員一丸で日本一を目指しているのだ。

(西岡 良修)


新入部員コラム 新米記者の目

 すごい物を見てしまった。関東インカレ最終日、110H決勝。法大の内藤(経3)は13秒69の日本学生新記録で優勝した。彼は誰よりも速く走り、キレイにハードルを越えていった。その十数秒間、私はひどく興奮したのを覚えている。会場はスタート前の静けさとはうって変わり興奮のるつぼと化した。観客が選手たちの走りに魅了され、一体となった瞬間だった。 陸上には不思議な魅力がある。もっと速く、もっと高く、もっと遠くへ。一見単純にも見える望みを実現するため、己の全てを賭ける人達がいて、それを見て熱狂する人達がいる。どうやら私は、そんな陸上の魅力にすっかりとはまってしまったようだ。

(外山 功)

春期リーグ選で40回目の優勝を果たした法大野球部。そのチーム内での競争の激しさは六大学随一である。トップクラスの席はどの世界でも限られているものだ。選手たちはいつ訪れるか分からぬチャンスやきっかけを求め、それらを掴むために日々努力し、様々なハードルに挑んでいる。私自身高校では甲子園へ3度出場したが、グランドでプレーをすることは出来なかった。しかし、選手層の厚い中でやることの難しさ、レベルの高い所でやることの意味、そういったことを実際に肌で感じてきた。そんな中での経験が自信へ、そして今の自分へと導いてくれている。野球を通して、一回りも二回りも成長させてもらった様な気がする。
(一宮 大輔)


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