スポーツ法政 01’10月号

銅だ日本新!! 為末 世界陸上’01

 8月にカナダのエドモントンで行われた世界選手権。日本男子陸上競技界から初めて,トラック種目のメダリストが誕生した。男子四百b障害決勝で、為末大(経4)が47秒89の日本新記録をマークして銅メダルを獲得。シドニー五輪で転倒、予選落ちと涙を飲んだ世界最小ハードラーが、ついに表彰台に立った。

世界の舞台で

 世界選手権四百b障害の決勝。8台目のハードルを越えるまで、為末は先頭を走っていた。終盤失速するとわかっていながらも、そのスタイルを貫いた。
 予選は3組の1着、準決勝はゴール直前でサンチェス(ドミニカ)に抜かれて3組2着だったが、48秒10の日本新記録。多少の余裕を持ってのゴールだっただけに、日本人初の47秒台、さらにはメダルの期待も膨らんでいった。
 為末は「正直なところ、決勝に進出できたことに安心していて、決勝を控えているとは思えないくらい冷静でいた」と言う。しかしスタジアムに入った瞬間、気持ちが急激に高揚していった。腿(もも)の裏にハードルが触れるのがわかるくらいに神経が研ぎ澄まされている・・・10年間陸上をやってきて、初めての経験だった。スタート後のことは、ほとんど覚えていない。
 9台目を前にアルソマイリー(サウジアラビア)、さらにはモリ(イタリア)とサンチェスにも抜かれ4位に後退。メダルは無理かな、という思いが頭をよぎる。だが「1コース(アルソマイリー)がヨロヨロしているのが見えた」瞬間、為末は必死であごを突き出してフィニッシュ。自分が3番目にゴールしたことを確認すると、為末は今大会初めてガッツポーズを見せた。銅メダル獲得、そして今まで日本人が誰も成し得なかった47秒台。為末大≠フ名前を世界中にとどろかせた。

さらなる飛躍を

 高校3年のとき、広島国体で49秒09の高校記録を樹立。だが法大入学後は伸び悩む時期が続く。手が届きそうで届かなかった48秒台を初めて記録したのは、昨春の関東インカレだった。それから約1年。為末は、自己ベストを1秒以上も更新したことになる。
 この驚異的な飛躍の要因はどこにあるのか。実際、レース時に使う力の量自体は以前と変わらない。変わったのは力の『出し方』だという。「自転車をこぐときと同じ。常に力を出し続けなくても、それまでの力で前に進むことはできる。その方法を覚えたんです」。ギアチェンジをうまく出来るようになったのは、今年6月の日本選手権で優勝したころだ。
 「47秒台を出せたのは世界陸上の決勝という舞台だからこそ。次はアテネ(五輪)の決勝くらいになるんじゃないかな」。メダリストになったことで、周囲からの期待も大きくなるだろう。しかし、為末の躍進はとどまるところを知らない。彼の見つめる先には、すでに次の大きな目標がある。昨年のシドニー五輪での雪辱は、3年後のアテネ五輪で必ず果たす、と。

(望月 春香)


バレー部 大爆発 V争いに大きな一歩

筑波下す


 粘り勝ちだった。セットカウント1−2で迎えた第4セット。真鍋(営3)、松本(法3)両エースのスパイクが筑波コートに突き刺さると法大の勢いは加速。「うちの方が分が悪かった」(吉田監督)状況ではあったが、試合はファイナルセットにもつれこんだ。一進一退の攻防で緊迫したムードが続く中法大は、「今年一番のでき」(監督)であった中西(営1)のトスワークと大角(営4)、大庭(文4)のブロック、真鍋、松本の怒涛の攻撃で、筑波大のペースを乱す。先にマッチポイントを許しながらも着実にサイドアウトを取り、そして最後は法大の粘りから相手のミスを誘い、優勝最有力候補とされた筑波大を見事振り切った。
 夏の合宿を終え、9月15日に開幕した秋季リーグ。
 春季6位に甘んじた法大は、今リーグ前半4戦は春の上位チームとの戦いとなった。初戦東海大にこそストレートで敗れたが、翌日の順大戦では春から格段に増した法大の攻撃力を見せつけ勝利。続く中大戦も敗れはしたものの中盤まで自分たちのバレーを展開した。確かな自信と敗戦の悔しさは次へとつながるものであった。そして筑波大戦での大きな一勝。
 上位リーグ進出に一歩踏み出した法大は、V争いに名乗りをあげる!!
(奈良輪 織恵)


野球部 巻き返しの時”打”

秋季リーグ戦

 春季リーグ戦において優勝を飾った法大だが、秋季リーグ戦は優勝ができるか微妙になってきた。第三週の慶大戦で連敗し勝ち点を落とした結果、自力優勝の可能性が消えたのだ。慶大戦の敗因は打撃陣の不調である。2試合の合計が3得点では勝てない。だが、本来の法大は決して打撃の弱いチームではないのだ。最年少三冠王の後藤(文3)や1年から活躍している清水(文4)、多井(営4)らもいる。彼らが奮起すれば確実に得点力は上がるだろう。
 そして勝つためには投手陣の踏ん張りも必要である。春に法大を優勝に導いた土居(営3)や奈須(法3)が怪我のため出場できない今、投手陣の中心となるのは松本祥(法2)だ。山中監督が「ローテーションの軸に」と期待する松本は、東大1回戦を完封、さらに慶大1回戦では敗れたものの、18奪三振という華麗な奪三振ショーを演じ、見事に6大学記録歴代2位タイという快挙を成し遂げた。
 自力優勝は無くなった。だが、優勝の可能性がある限り、チーム一丸となって、一試合一試合を戦い抜いてほしい。
(山本 啓介)


準硬式野球部 日本一!!

 今年の夏休み中、一番の活躍を見せた法政体育会はこの準硬式野球部(以下準硬=じゅんこう)ではないだろうか。大学スポーツの華、硬式野球部の影に隠れてしまいあまり目立たない存在であった準硬が、今年の夏の暑さと同じくらい"アツイ"活躍を見せた。第53回全日本大学準硬式野球選手権大会(8月17〜23日)において41年ぶり3度目の日本一に輝いたのだ。
 この大会を通して最も活躍した選手を一人挙げるとすれば、若き2年生エース・関口(法2)であろう。淡々とした投球を見せる関口は最大の山場であった3回戦、強敵・中大戦で延長15回、200球を完投した。しかも失点は2というからさらに驚きである。
 しかし、最大の勝因は違うところにあった。それはこの大会を最後に引退する4年生が1年間、チームを引張ってきた事である。「強くはないがチームワークがもの凄く良い。勝ち進んでいくうちに強くなった」(浦井・済4)。このチームワークを作り上げたのが5人しかいない4年生であった。
 この良い雰囲気を今の3年生が継続できれば、準硬はこれからもっともっと強くなるだろう。来たる10月20、21日の土日に秋季リーグ戦の最終戦(対明大・13時開始)が体育棟のグラウンドで行われる。代替わりした準硬がどんな面白い試合を見せてくれるのだろうか。要チェックである。さあ、みんなで準硬を応援しに行こう!!

(蔵方 佑介)


ラグビー部 日本一に向け快走発進!

 大学日本一を目指す法大ラグビー部が東海大との一戦でリーグ戦の開幕を迎えた。昨季のBK陣がほとんど残り、FWのサイズも全体的にやや大きくなった今季は開幕前に関西王者の同大に勝利、英国の名門ケンブリッジ大に5点差の惜敗と順調な仕上がりを見せてきた。
 試合開始直後FB小吹(経2)が個人技で先制トライし圧勝を予感させる。しかし前半は「リズムがおかしかった」と武村監督が語るようにその後、東海大に深く攻め込まれる場面が増え、法大は4トライを奪うも2トライを許す。迎えた後半、法大はSO乗本(社4)がキックを有効に使いリズムをつかみ出す。そしてケンブリッジ大を驚愕させたBK陣がグラウンド狭しと走りトライを量産。結局67−17の大差で重要な初戦を勝利で飾った。
 試合後、武村監督は「今日は悪い部分が出てよかった」とか足り、2トライをあげた浅野主将(経4)は「ほかのチームのことよりまず自分たちのレベルアップ」と、これからの長いシーズンを見据え、気を引き締めていた。

(庄司 岳史)


アメフト部 甲子園連覇へ死角なし!?

昨年甲子園ボウルを制し、連覇を目指す法大トマホークスは、初戦の横国大戦に完勝したが、二戦目の関院大戦で、思いもよらぬ苦戦を強いられ、今後に不安の残るスタートとなった。

連勝発進も・・


 初戦の相手は、今季1部に昇格した横国大。法大は終始相手を圧倒。攻撃は1Q6分にUB白木(文4)のTDで先制すると、その後も期待の新人伊藤喜(法1)の3TDを含む8TDを上げた。一方、守備も看板のDLを中心に完封に抑え、完勝した。続く第二戦は、関院大。試合開始31秒でUB白木のTDで先制するが、警戒していた関院大のオープン攻撃に苦戦、2Qに同点のTDを許す。TB中島(経4)、3QにはTB伊藤喜のTDで再度リードを奪うが、関院大もTDを上げて食らいつく。4QにUB白木がTDを奪い再びリードを広げるが、すぐに関院大にTDを許してしまう。その後は疲れの見える関院大を突き放し、勝利こそ収めたが、今後に課題が残った。
 大森監督は「点差ほど実力差は無い。オフェンスもディフェンスも自分たちの形ができていない」と不満そうに語った。

司令塔への期待


 今季の法大はパス攻撃の充実を図っており、その鍵を握るのが司令塔のQB桑野(営3)だ。現段階ではパスに課題を残すが、大森監督も「いいものを持っているのであせらずにやって欲しい」と、成長に期待する。チーム史上初の甲子園連覇を目指すトマホークsの「更なる挑戦」は始まった。
(高村 篤史)


天皇杯出場決定!!サッカー部

 天皇杯―プロチームとの真剣勝負が実現する唯一の大会。法大がそんな夢の舞台へと二年連続の出場を決めた。
 東京都予選決勝、相手はJFLの横河電機。台風の接近に伴う悪天候の中で精彩を欠く両チーム。互いに決定機が作れず一点勝負の様相を呈してきた中、決着をつけたのはFW中村(社3)だった。「常に相手のミスを狙っている」という中村が後半24分、MF長山(社2)の相手DFとGKの間に落ちるクロスにヘッドで飛びこんだ。
 昨年はケガで天皇杯を欠場。悔しい思いもした。だが今年は自らの手で法大を天皇杯に導いた。「天皇杯も大事だが、夢はリーグ戦1部昇格」と優勝にも浮かれていない。横谷監督も絶大な信頼をおく成長著しい中村の活躍によってチームも上り調子。リーグ戦では目下三連勝で首位。中村、そして法大の夢が今、現実のものになろうとしている。

(鈴木 優介)


テニス部 松永・畠中 インカレ複 優勝

 その瞬間、彼らはがっちり手を組み喜びを噛み締めた。8月11〜19日に大阪の靭テニスセンターで行われた第69回全日本学生テニス選手権大会(通称インカレ)ダブルスにおいて主将の松永(社3)・畠山(済2)ペアは見事日本一の称号を手にした。
 彼らの優勝は誰もが予想もしなかった出来事だった。なぜなら彼らは第11シードとしてこの大会に挑んだ伏兵だったからである。しかし、4回戦で第4シードの神原・小林ペア(早大)を接戦の末に破ると波に乗った。「無我夢中で戦った」と松永も言うように一気に栄冠への道を駆け上がった。
 試合後、冷静に戦いを振り返って松永は「マグレ」と語ったが、そうは言っても日本一には変わりはない。今までやってきた事が実った証である。これを教訓にさらに練習を重ねて今大会結果を残せなかったシングルスでの活躍に期待したい。「今度はシングルス。最終学年となる来年、絶対に有終の美を飾れるように頑張ります」と松永は目標を力強く宣言した。

(蔵方 佑介)


バスケ部 何かが起きる

 昨年2部で優勝し、1部で迎える今季。春のトーナメントで1部との力の差を痛感した法大は、チームワークの強化が課題であった。夏はコーチ不在のため、「自分達でやるしかない」という気持ちをもって主将の根間(法4)を中心に練習してきた。夏を終え、「チームに一体感が増し、春の時より成長した」と手ごたえを感じている根間。戦前の法大の評価はあまり良くないが、それを覆すため集中力を切らさず、最後まであきらめずに戦っている。現在ケガで出場できない根間が復帰すれば、リーグ終了時にその予想が間違っていたことになるだろう。

(高坂 知永)


剣道部 45年ぶりの快挙

 7月1日、第49回全日本学生剣道選手権が大阪府立体育館で行われ、法大主将・田中純(法4)が同大会初出場ながら学生日本一に輝いた。法大勢日本一は実に45年ぶりの快挙となった。
 田中は準々決勝で野口(中大)を延長戦の末一本で下すと、準決勝では吉田(愛学大)に2−0で圧倒的強さを見せつけ、勝利。そして進んだ決勝では榎田(中大)に先手を取られながらも、「勝つ自信があった」という田中は落ち着いた試合運びで2本のメンを取り返し、見事な逆転劇で優勝を決めた。
 「次なる目標は団体戦優勝」(田中)。田中をはじめとする4年生陣にとって、最後の大会を間近に控え、剣道部の期待はさらに高まる。

●田中純(たなかじゅん) 埼玉栄高出身 4段 ライバル−興梠亮太(営4)



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