「甲子園は夢の舞台でした」。久米(農1)は昨夏の甲子園での思い出を振り返ってそう語った。桐生一高の主将として夢の舞台に立った久米。しかし、そこまでにたどり着く道のりは決して楽なものでなかった。「初戦からきつかった」という言葉どおり、地区大会では全試合中3点差以内のゲームが5試合。また、そのうち3試合が1点差。ノーシードから薄氷の勝利をモノにして掴んだ甲子園への切符だった。 そして臨んだ甲子園本戦。チームは1、2回戦を突破し、久米が「甲子園で1番印象に残っている試合」という対小松島高戦を迎える。3回表に4点を先制される苦しい状況。だが、その裏に打線がつながる。先頭打者からの4連打など打者10人で7安打6点。この大爆発に久米は「チームの勢いを感じた」と振り返る。その後、相手の反撃を1点でしのぎ、チームは1点差で勝利。逆境に打ち勝ち、チームの持ち味を発揮し接戦を制した価値のある1勝だった。続く準々決勝にも勝利しベスト4に進出するも、準決勝でその年の優勝校・常総学院に敗北。こうして久米の高校球児としての最後の夏が終わった。 本学入学後、硬式野球部に入部した久米は高校時代本職だった内野手をやめて投手に専念する。本格的な投手歴は長くはないが、努力が実を結び春季新人戦において全試合に登板し優勝に貢献。そして今夏の遠征でも1軍メンバー入りを果たした。 現在本学のエースを務める一場(商4)は同じ高校出身の先輩。久米は一場のような豪速球で勝負するタイプの投手ではない。右横手から繰り出されるジャイロボールとコーナーを突く制球力で久米は勝負する。秋のリーグ戦登板を目標として練習に励む久米。大学野球を「高校野球とはレベルが違う」と言いながらも、「チャンスはある」と語る姿や投手としての素質には今後の可能性が感じられた。春季リーグ戦優勝メンバーを脅かすぐらいの新風をぜひ吹き込んでほしい。 ◆久米 勇紀 くめゆうき 農1 桐生一高出 177cm・73s