『経験は歓喜の種子』

 足りないものは"経験"――。5月11、16〜18に国立競技場、横浜国際総合競技場で行われた関東インカレの後、西コーチ、武藤主将(政経4)はこう口をそろえた。本学は若いチーム。1、2年生の経験不足が、そのまま試合結果となって現れてしまった。

 それを象徴しているのが大会最終日の5000m。本学からは池邊(商1)、幸田(政経2)の二人が出場した。レースはスローペースで流れ、「調子が良かった」幸田は中団より前で進める。更に普段は後方に控える池邊も幸田をマークし前へ。だが、ペースの上げ下げに対応しているうちに二人とも自らのリズムを乱し、体力を消耗してしまう。次第に後退していき、池邊は14分38秒86で21位、幸田は14分47秒20の26位に終った。「雰囲気に飲まれてガチガチになってしまった。展開にも対応できなかった」(幸田)。「雰囲気に慣れなかった。レースの流れに乗れなかった」(池邊)。経験不足によるメンタル面の弱さと、どういう展開になっても対応できる力の不足。この二つがはっきりと露呈された形となった。同様に岡本(政経1)が出場した大会2日目の一万m。早いレース展開に何とか食らいつくが、前との差は広がるばかり。「前とどんどん離れて自分のペースが分からなくなっていく。予想以上に一人の時間が多くてきつかった」(岡本)。30分00秒90の23位に沈んだ。

 「一年生はまだ環境になれていない」(西コーチ)。高校生とは大きく変わった生活、練習環境、人間関係…。一年生にはレース以前にこうした不利な部分がある。レースのレベルも高校とは違い、駆け引きに対する力も足りない。だが、全ては"経験"していくことで少しずつでも解消していくはずだ。「一つ一つの経験をどうやって力にしていくか」(西コーチ)だ。

 今大会、明るい材料もある。3日目に決勝が行われた3000m障害。予選3位の山下(文2)が4位、予選6位の吉岡(法1)が6位に入賞する健闘を見せた。レースは吉岡が前半1000mを2分49秒と後続を引き離して逃げる、ハイペースの流れ。「メイジのあいつスゲェー!」。場内からどよめきが起こる。「最初に飛ばしてどこまで耐えられるか、自分がやってみたいレース展開だった」(吉岡)。前日にこの作戦を考え、山下に伝えた。さすがに逃げ切ることはできなかったが、最後まで大きくバテることなく8分54秒31でフィニッシュ。山下は吉岡の作ったペースでかく乱された選手を拾うため、中断を追走。「展開が速かったから、うまい具合に乗っていけた」(山下)。徐々に上がっていき、終盤で5000m3位の黒田(法大)をとらえ、自己新の8分50秒21でゴールした。「3000m障害の結果を5000m、一万mにどう生かしていくか」(西コーチ)がカギだ。

 関東インカレの一週間後の5月24日には、延岡市の西階競技場で`03ゴールデンゲームズが行われ、5000mGで幸田が14分17秒14の9位に入った。社会人に混ざり、関東インカレとは勝負よりタイムを重視するこの大会。出場選手中、持ちタイムが最下位にも関わらず、一週間前とは見違える走りを披露した。「調子が悪かったから、最初は控えて上位を抜いていった。関カレの時は気負いもあったのかも」(幸田)。調子の悪さからリラックスできたことで、本来の走りを取り戻した。

 今後は6月1日に日体大記録会、6月14日には全日本大学駅伝予選が江東区夢の島競技場で行われる。「これでみんな走れれば箱根にもつながる」(山下)。「全日本駅伝に出るつもりで全力で行く」(幸田)。そして、7月4〜6には横浜国際総合競技場で全日本インカレが控えている。全ての"経験"が箱根につながっていく。「1年1年成長している。後退はしていません。少しずつ上がっていくしかない」(西コーチ)。  [本紙競走部担当 新井健一]
 関東インカレ 長距離陣の成績
5000m1橋ノ口(山梨学大)14分01秒04
21池邊(商1)14分38秒86
26幸田(政経2)14分47秒20
1万m 1藤井(日大)28分36秒52
23岡本(政経1)30分00秒90
ハーフマラソン 1モカンバ(山梨学大)1時間03分34秒
25中尾(文4)1時間07分52秒
29武藤主将(政経4)1時間09分07秒
31大森(政経3)1時間09分26秒
3000mSC 1篠浦(早大)8分41秒60
4山下(文2)8分50秒21
6吉岡(法1)8分4秒31
※青田(文1)9分10秒71予選落ち
‘03ゴールデンゲームズ成績
5000mf 1ムヒア(愛三工業)13分53秒09
25池邊(商1)14分47秒25
5000mG 1川越(旭化成)14分06秒21
9幸田(政経2)
5000m 1野宮(大東大)14分22秒49
18武藤主将(政経4)14分57秒05