前期を総括して

 豊富なタレントの揃った中盤を軸に、活発なサイド攻撃から得点を生み出す。 本学の最大の特徴である”攻撃サッカー”は、発揮されることのないまま前期終了を迎えた。前期7節を通じて総得点は8。どうしてこれほどの決定力不足に陥ってしまったのか。攻撃面を中心に据えつつ、前期の本学を振り返ってみたい。

 今期開幕戦は絶好のスタートだった。流経大を相手に、松ヶ枝(商3)と山本(法1)の2トップが1ゴールずつ決めて快勝。昨年もっぱらFWの柱として活躍した上芝(政経4)と吉田(商2)が負傷により出遅れている、そんな不安も一掃する試合だった。気になる部分があったとすれば、サイドバックがほとんど攻撃に参加できなかったことだろうか。「どう前に出ればいいかのタイミングが難しい」(川野・商3)と漏らすのも無理はない。左の夏迫にしろ右の川野にしろ、本来のポジションはそれぞれ異なる。そんな彼らに守備のバランスだけでなく攻撃も考えろというのは酷だっただろう。

 微妙なチームのほころびは第2節にして早くも現れる。昇格争いのライバル・法大に対して0-3と完敗。序盤優位に試合を運びながら、ディフェンスのミスにより立て続けに失点してしまう。そして、好機を生かせなかった攻撃陣、 (I"流れ的にはよくなかったんだけど攻められまくったわけでもなかった (I#(大和田主将・政経4)。相手にやられた、そんな試合ではなかった。だが、何かうまくいかないという思いは、どの選手も感じていたのではないだろうか。

 得点力の低さが浮き彫りになるのはそれからだ、続く青学大戦、慶大戦、国武大戦。もどかしいの一言に尽きる試合の連続だった。相手校をはるかに上回る20数本のシュートを打ちながら一点しか取れない。攻撃の形を模索する中で、さまざまな選手が起用されていく。FWは山本に代えてポスト役の上芝が復帰。だが本調子には程遠く、うまく機能しない。中盤の右サイドには”エース”中島(文4)が固定されているものの、ここぞというチャンスを逃すばかりでらしくない。そして左サイドは流動的になった。スピードのある阿部(商2)、シュートセンスの高い吉田、司令塔的な役割も果たす栗橋(商2)。ルーキーながら小川(商1)や森(営1)も起用される。リーグ中盤に差し掛かるころには小川がスタメン、阿部がサブで途中出場という形は整った。それでもリーグ戦に限れば、左サイドからの攻撃の明確な意図は伝わりにくかった。

 一方で、右サイドの攻撃には徐々に厚みが増してきた。その最大の要因は、福田(政経1)の台頭だ。すでに開幕戦からベンチ入りメンバーに登録されていた本職のサイドバックは、法大戦でデビュー。それからは常にスタメンに名を連ねフル出場を果たしている。サイドハーフ中島と絶妙な距離を保ちつつ、すきあらば一気に駆け上がりクロス、さらにはシュートも放つ。本学に新たなサイドバック像を確立した福田は、サイド攻撃の切り込み隊長的な存在になっている。

 松ヶ枝、中島、福田と右サイドを軸として展開される攻撃。しかしそれも、決定力不足解消の根本的な解決にはつながらない。チャンスは作れる、でも打てども打てども点が入らない。第6節、東農大戦で中島と上島に今季初得点が生まれたのは収穫の一つ。ただそれも遅すぎた感は否めない。最終節・東海大戦での得点はボランチ澤本(営4)の一点だけ。スコアも1-3の完敗でオフェンスのみならずディフェンスにも疑問符を投げかけたくなる締めくくりになってしまった。

 では話をまったく変えて、ディフェンスはどうだったのか。昨年からセンターバックを組んでいる大和田主将と戸川(政経4)を中心とした4バックに、大きなほころびはなかったように思える。「集中力が切れてしまっているときがある」(高木・政経4)ために、不用意な失点を招くこともあった。それでも経験豊かな4年生二人がどっしりと構える最終ラインには頼もしさも覚える。サイドバックは福田が積極的に攻めあがる反面、夏迫はほとんど自陣に張っている印象があった。ディフェンス一本に集中という感じだが、時にロングキックなどで攻撃の起点ともなり、落ち着き払ったプレーは終始安定していた。スタメン4人の連携は秀逸。ディフェンスの最大の問題は層の薄さだ。東海大戦の3失点も戸川が負傷退場した後に招いたもの。後期へ向け、伊野(政経3)川野ら控えセンターバックの奮起は欠かせない。

 オフェンスとディフェンスの両面を振り返ってみた。最後に少しだけ、先日行われた関東選手権に触れておきたい。前日の大雨により、文字通り泥試合を演じた2回戦、国士大戦。最悪のピッチ状態、主力の欠場…そんなマイナス要素を微塵も感じさせずに、前半1-0と前年度王者を圧倒するサッカーを見せた。「(明治)は相手が強いと”やったる!”って感じになる奴らですから」(伊野)。試合は不運も重なり敗れはした。だが何か大きなうねりを感じたのは確かだ。「リ−グ戦の中で比べても、一番モチベーションが高かった」(大和田主将)。だから、の後に続く言葉。それを“どこにだって勝てる”ととらえることはできないだろうか。9月に始まりを告げる後期、胸を張ってそう答えてくれる明大イレブンの姿があることを、願ってやまない。