紙面より 2003年 1月号

早大荒ぶる FWもBKも全員が「進化」
1月11日。国立に大学日本一になった時のみ歌うことのできる部歌『荒ぶる』が響き渡った。大学選手権決勝。相手は、昨年同じ舞台で苦杯をなめさせられた関東学院大。一年前のリプレーは許されない早大は、チームキーワード『ULTIMATE CRUSH』の遂行をするべく一時は19点差をつけ激しさを見せた。終盤は追い詰められたが27−22で逃げ切り、念願の13年ぶり11度目の大学選手権優勝のタイトルを手にした。

 「13年間お待たせしました」。春か無敗のままチームを大学日本一に育て上げた知将・清宮克幸監督(平2教卒)はファンに向けて言った。5万人の観衆を集めた国立競技場、ワセダファンが待っていたのは、まさにこの、大学日本一の栄光をつかむ瞬間だった。
 試合序盤は早大ペース。ゴール前でのペナルティーからも、「自信があった」(CTB山下大悟主将=人4)サインプレーで攻める。そのサインプレーから主将自ら先制トライを決め、前半22分まで立て続けに3トライを挙げた。スロースターターと言われていた早大の、気合いにみなぎった立ち上がりだった。
 しかし、19‐0と試合を楽に運んだ早大に『思ったよりスコアが取れる』と気の緩みが生じた。ここで3連覇を期したマリンブルーは得意のFWで前進を始める。自陣22メートル内に入られると早大は焦りからディフェンスの反則を重ねた。セットプレーから2トライを奪われ、守りの姿勢のまま前半を折り返した。
 スコア上こそ常に早大がリードしていたが、後半に入ると、早大陣内で攻められる時間帯がさらに増えた。フランカー羽生憲久(理工4)ら多くの選手が「個々が強い」と称した関東学院は、まさに個人の特出した突破力で早大ディフェンスをこじ開け続けた。早大は13分にロック高森雅和(教4)のチャージでのトライで追加点を稼いだが、後半はそれ1本。終盤まで王者の意地から関東学院大は早大の積み立てた貯金に迫った。
 表示されたロスタイムは4分、猛攻に耐える早大にとって長いものに感じられた。しかし、その時間の攻防がノーサイドの訪れを、より大きな喜びの瞬間に演出した。
 新王者、早大の誕生。「今日の勝利のためにやってきた」という清宮監督の言葉は、選手全員の声でもある。根を伸ばし続け、この日咲き乱れたアカクロの花。勝利の熱気が冷めやらぬフィールドで涙しながら熱唱した13年ぶりの部歌『荒ぶる』。試合直後、来季について清宮監督が「今年より強いチームを作ります」と力強く語った姿から、それは早大時代の到来を告げる歌声に聞こえてならなかった。 (下 麻奈美)


早大歴史的惨敗 主力の欠場響き15位
 最終区、アンカー・植竹誠也(人4)は力ない足取りで大手町に戻ってきた。ゴール直前、国学院大にかわされ、鶴見中継所14位で受け取った順位を一つ落としてしまう。まさかの15番目でのゴール。植竹はその場に倒れこんだ。早大の、悲しみに満ちた、屈辱の瞬間。大手町に舞った雪が、伝統校・早大の敗北の大きさを際立たせていた。
 小雪交じりとなった復路スタートの芦ノ湖。伝統のエンジ色のタスキは10番目でのスタートを待っていた。前日の往路、期待の1〜3区で思うようなレースができず、大きく出遅れた早大。だがこの悪い空気を、早大鬼門の山で吹き飛ばす。五十嵐毅(人3)の区間3位の快走で何とか踏みとどまった。往路を終えトップ山梨学院大との差は7分44秒あるものの、4位大東大との差は3分10秒。中位以降は大混戦の様相を呈していた。早大は9区に3年連続となる後藤信二(理工4)、10区には植竹と言う力のある経験者をそろえていた。調整力にたけ、前評判以上の力を出すといわれる早大にとって、シード権確保は最低限とし、十分巻き返し可能な差だと思われていた。
 6区松村啓輔(人4)は2年越しの思いを込めて山を下りきった。昨年は6区を予定されていたものの、当日変更で無念のメンバー落ち。その悔しさをバネに取り組んだこの1年間。「無心で走った」と言う松村は、あられ交じりの悪条件の中、粘りの走りで順位をキープ。10番目でタスキをつないだ。しかしここから早大の大苦戦は始まった。箱根駅伝初登場となった、7区高橋耕(人4)、8区岡部裕介(人2)がともに区間19位に沈み、総合順位も15位まで落とした。戸塚中継所9区後藤にタスキが渡った時点で、シード権獲得のラインとなる10番目を走っていた帝京大との差は2分59秒。上位巻き返しをもくろんだ復路で、シード権確保に向けてもぎりぎりの差となっていた。
 後藤は4年連続の箱根。昨年も同じ9区をを走り、区間4位とチームに貢献。だがその後藤でも一度陥ったチームの悪を断つことができない。「昨年より悪かった。自分を出し切れなかった」との言葉どおり、区間順位も9位。総合でも順位を一つ上げるのが精いっぱいだった。
「スタート前から負けていた」。2区を走ったエース・森村哲(人4)はそう振り返った。主力の相次ぐ故障で走るべき人間が走れなかった今大会。何とか箱根に間に合わせた杉山一介(人2)「負けたのは練習不足。ケガをするのは実力不足」と言った。昨年の3位躍進から一転。さらなる高みを目指して挑み続けてきた彼らの1年は、悲しみと悔しさに満ちた、涙の結末だった。 (橋本和宏)


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