対戦2回り目に入った阪神だが、突然の雷には勝てなかった。今シーズン初の甲子園での“伝統の一戦”は降雨コールドで引き分けに終わった。

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山田久志(日刊スポーツ評論家) 正直いって、開幕からここまで、中日、巨人が上にいくなど思いも寄らなかった。だけど、巨人は明らかに変わった。チームが連勝しているからという見方もできるが、月並みだがチームから一体感が伝わってくる。それは阿部監督が作り上げてきたものだろうが、何より守備と走塁に意識を置いていることが、ベンチワークからもうかがえた。若い芽が出てきたし、船迫も、バルドナードも使える。後ろに西舘、大勢がいて、打つだけでなく、投手力で勝負ができるようになってきた。昨シーズンの阪神がやってきた野球を、今年は巨人がやっているようにも映った。

阪神村上は3回、投手山崎伊に適時打を浴びて先取点を献上。だが7回1死二塁、木浪の投ゴロを処理した山崎伊に、二、三塁間の挟殺プレーに持ち込まれたが、幸運にも二、三塁になった(記録は野選)。代打糸原の右犠飛で同点に追いつくことができた。

山田 村上は少し好調時に戻ってきているが、一方で相手チームからかなり研究されている。巨人もそうだったが、早く仕掛けてくるようになったから、今後はちょっと入り方を気をつけていくことだ。7回の巨人は山崎伊と坂本のダブルミスだった。試合としては痛み分けだが、阪神のほうは岩崎、ゲラをつぎ込んでいたから、9回でケリをつけたかった。

14日の中日戦で全打順を変更していた阪神のオーダーは“出直し”を感じさせる並びだった。

山田 阪神は一にも二にも得点力を上げていくことだ。早く昨年のようないい状態に戻したい。中日も、巨人もチームが変わったし、交流戦までは、どこが上位に進んでもおかしくない状況だ。【取材・構成=寺尾博和】

阪神対巨人 3回表巨人1死三塁、村上は山崎伊に中適時打を打たれ先制点を許す(撮影・加藤哉)
阪神対巨人 3回表巨人1死三塁、村上は山崎伊に中適時打を打たれ先制点を許す(撮影・加藤哉)
阪神対巨人 7回裏阪神1死二塁、二走植田(左)は木浪の投ゴロで二、三塁間で挟まるも三塁手坂本のタッチをかわし三塁へ進む(撮影・上山淳一)
阪神対巨人 7回裏阪神1死二塁、二走植田(左)は木浪の投ゴロで二、三塁間で挟まるも三塁手坂本のタッチをかわし三塁へ進む(撮影・上山淳一)