日本ハムは連勝が止まったが、Aクラスをいく戦い方が垣間見えた。3回を終えるまで計13打席。1三振をのぞく12打席は、凡退も含めて全てセンターから逆方向への当たりだった。楽天岸という好投手に対し、少しでも長くボールを見ようというチームの意図を感じた。ファウルも、大半が逆方向だった。

4回先頭の田宮の右前打が、初めての引っ張った打球だった。ただ、意識は逆方向に置きながら、低めのカーブをうまく捉えた当たりに見えた。続く上川畑も引っ張って一ゴロ併殺となったが、無死一塁で一、二塁間が空いていた。そこを狙ったのだろう。結果にはつながらなかったが、どう攻撃するかという意識は伝わってきた。

楽天バッテリーも当然、気付いたはず。そこで、中盤から逆方向には打たれにくい配球をしてきた。それを、今度は日本ハム打線が逆手に取り始めた。3回り目から引っ張った当たりが増えた。6回1死一、二塁で田宮はインハイの真っすぐを引っ張り、右前にタイムリーを放った。

対照的に、楽天の攻撃は粗さが目についた。初回に2点を先制し、なお無死二塁。島内は左飛で走者を進めることもできなかった。1-1とカウントはまだ若かっただけに、もう少し意識して欲しかった。2回は1死三塁から小深田、小郷とも初球を打ち上げ、あっさりと追加点のチャンスを逃した。

日本ハムの「徹底力」は数字に表れている。チーム打率2割3分2厘はリーグ3位、11本塁打は同2位タイ、13盗塁も同3位と、ずばぬけたものはない。56得点は同5位で、失点(65)の方が多いぐらいだ。それでも、今季1点差ゲームは5戦全勝。徹底した攻撃で奪った点を、好調なリリーフ陣で守っている。

先発鈴木を4回で代え、雨で流れた前日に先発予定だった田中瑛を5回から送った。2人で任せるプランだったのだと思うが、鈴木は2回以降はのらりくらりと、らしさを出していた。3回り目に入る前に代える判断だったのかもしれないが、この日に限れば継投は失敗だった。

現状、飛び抜けて打つ選手がいるわけではない。チーム力で点を奪い、それをつないで守り切る。今後も継投が勝敗のカギを握るだろう。近年には珍しいタイプの戦い方だが、対戦相手はやりづらさを感じているはずだ。(日刊スポーツ評論家)

楽天対日本ハム 楽天に敗れた日本ハム新庄監督(撮影・たえ見朱実)
楽天対日本ハム 楽天に敗れた日本ハム新庄監督(撮影・たえ見朱実)
楽天対日本ハム 6回表日本ハム1死一、二塁、適時打を放つ田宮(撮影・たえ見朱実)
楽天対日本ハム 6回表日本ハム1死一、二塁、適時打を放つ田宮(撮影・たえ見朱実)
楽天対日本ハム 6回表日本ハム1死一、二塁、適時打を放つ田宮(撮影・たえ見朱実)
楽天対日本ハム 6回表日本ハム1死一、二塁、適時打を放つ田宮(撮影・たえ見朱実)
楽天対日本ハム 日本ハムの先発鈴木(撮影・たえ見朱実)
楽天対日本ハム 日本ハムの先発鈴木(撮影・たえ見朱実)
楽天対日本ハム 5回からマウンドに上がった日本ハム田中瑛(撮影・たえ見朱実)
楽天対日本ハム 5回からマウンドに上がった日本ハム田中瑛(撮影・たえ見朱実)