ドジャース対ブレーブス 3回裏ドジャース無死、右越えに8号ソロ本塁打を放つ大谷(撮影・菅敏)
ドジャース対ブレーブス 3回裏ドジャース無死、右越えに8号ソロ本塁打を放つ大谷(撮影・菅敏)

大谷は投手との“せめぎ合い”を制した。第2打席のホームランは、インハイのフォーシームを打ったもの。第1打席は空振り三振だったが、初球でインハイに投げられファウル。おそらく、そのイメージが頭にあったと思う。また、今シーズンはここまで、ストレート系を打ったホームランが限られていた。ストレート系でインハイを攻められる確率が高い中で、その球をしっかり打ち返した。

苦手なコースや球種があれば、当然ながら、相手はどんどん、そこを攻めてくる。それで打てないままだと、さらに攻められてしまう。逆に、そこで打つことができれば、今度は相手の方が考えてくれる。その結果、より打ちやすいところに投げてくる可能性が高まる。これが投手とのせめぎ合い。投手でもある大谷なら、インハイを攻められやすい状況にあることは分かっていたはずだ。

ドジャース対ブレーブス 4回裏ドジャース1死一、二塁、左適時打を放つ大谷(撮影・菅敏)
ドジャース対ブレーブス 4回裏ドジャース1死一、二塁、左適時打を放つ大谷(撮影・菅敏)

早々とせめぎ合いを制したことで、大谷は自分のペースに持ち込んだ。インハイを打った直後の第3打席は、外主体の攻めが予想された。その通り、外の球を逆らわず左前に運んだ。第4打席、4球目の右翼ポール際のファウルは惜しかった。最後は左飛に倒れたが、内容は悪くない。第5打席は、初球の甘い球をきっちり中前に運んだ。

技術的には、今のバッティングには特にいいも、悪いも目につかなかった。言い換えれば、これが大谷の通常モードということだろう。ブレーブスにはアクーニャ、オルソン、オズナらタイトルホルダー。そして、ドジャースには大谷を含むMVPトリオ。両チームそうそうたるメンバーの中で、通常モードの大谷が活躍した。今や、それが当たり前になっている。もちろん、メジャーのトップレベルであることは分かっている。ただ、強いブレーブスが相手だっただけに、あらためて大谷のレベルの高さを感じた。(日刊スポーツ評論家)