阪神は今季初の「カード全敗」となった。6日に予定されていた広島戦は雨天中止になったので2連戦。

そこで連敗を喫したのでカード全敗だ。たかが連敗で大げさなことを言うな…としかられそうだし、実際、そうなのだが、今季12カード目で初のことなので少しだけイヤな感じはする。

「今季はどこもカード3連勝が少ないやろ? なあ。だから、こうなってるわけやけど…」。前日、指揮官・岡田彰布は試合前練習を見守りながら、そんな話をしていた。確かにそうだ。いわゆる“スイープ”が少ない。序盤から混戦状態のセ・リーグの、それが一因と言うわけである。

阪神はここまでカード3連敗はもちろん、2連戦も連敗で終わることはなかった。ストロングポイントである強力投手陣を背景に粘り腰を発揮してきたのである。だからこそ首位の位置にいるのだが-。

この試合を振り返れば序盤からイヤな感じは漂っていた。ここまで阪神戦に2試合投げ、未勝利の大瀬良大地の立ち上がり。1回、先頭の近本光司が四球を選んだ。無死一塁で期待させたが後続がなかった。

続く2回、これも先頭の5番・佐藤輝明が四球で出たがホームにかえってこれなかった。さらに言えば勝ち越された直後の8回だ。代打・糸原健斗が2番手・島内颯太郎から四球を選ぶ。反撃開始か…と思ったがここも後が続かなかったのである。

持ち味の四球で攻めたように見えた阪神だが、それが得点に結びつかなかった。反対に8回表、粘ってこの試合2つ目の四球を選んだ若い二俣翔一の出塁をきっかけに2点を勝ち越した広島とは対照的だったようにも思う。

先発・大竹耕太郎は昨季からの相性のよさを発揮し、よく投げたがやはり打てなくては苦しい。ノイジー、大山悠輔、そして佐藤輝とこの日のクリーンアップは音無し。近本、中野拓夢の1、2番はつないだが6番・森下翔太も8番・木浪聖也からも快音が聞かれなかった。またしても打線は不調に陥っている。

「こんなんで勝つのは無理やわ、ハッキリ言うて」。打線の不振に岡田は身もふたもない言い方をしたが作戦も立てようがなくイライラは募るだろう。とにかく混戦を生き残るには大きな連敗をしないことだ。次の戦いはすぐにやってくる。まずは筒香嘉智擁するDeNAに1つ、勝て。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)

阪神対広島 9回裏阪神2死一塁、前川の二ゴロで敗戦が決まり、厳しい表情の岡田監督(左から3人目)ら(撮影・上田博志)
阪神対広島 9回裏阪神2死一塁、前川の二ゴロで敗戦が決まり、厳しい表情の岡田監督(左から3人目)ら(撮影・上田博志)