阪神に新たな不安材料が芽生えた。阪神先発メッセンジャーにとってマツダスタジアムはやはり「鬼門」なのか。立ち上がりからリズムをつかめない。1回は田中の左翼への大飛球がリプレー検証の末、二塁打になった。その直後、仕切り直しの初球に、くせ者菊池がセーフティーバント。不意打ちを食らって処理しきれず、無死一、三塁になる。丸には低め直球を打たれ、左中間にエンタイトル適時二塁打を許した。

 1回は犠飛2本も許して3失点。3回も再び田中からの連打で2点を失った。甘くなった球を痛打され、今季最短で最多の4回5失点KO。「自分の投げるゾーンが高くなって、制球ミスを見逃さずに打たれたのがすべて」。リーグ戦再開の初戦を託されたが、赤ヘル打線のえじきになった。

 香田投手コーチは「ブルペン自体は良かったけど、勝負どころの球が中に入った。次はしっかり、やってくれるでしょう」と期待するが、暗雲も垂れ込める。再びメッセンジャーの「マツダ苦手説」が浮かび上がるからだ。昨季は2戦1勝だが、防御率は10・24だ。14年に2敗して防御率8・10だったこともあり、15年は登板を回避するほどのマウンドだった。

 優勝を目指す阪神は7月以降、首位広島との直接対決を重視し、助っ人右腕を積極的にぶつける方針だ。シーズン佳境を迎える8、9月は敵地での3連戦を控えている。開幕戦こそ勝ったが、またも、この球場で相性の悪さが出た。「調子自体は悪くない。失投をとらえられた」と渋い表情。一抹の不安が取り越し苦労に終わればいいが…。【酒井俊作】