あと1人で敗戦の土壇場から、ソフトバンクの伏兵福田が2号2ランを放ち、逆転サヨナラ勝ちを収めた。1点を追う9回2死一塁、西武の守護神増田のカーブをとらえた打球は、大歓声の中、右翼席へ消えた。「興奮してます。最高にうれしい。打った瞬間入ったと思った。みんなの笑顔が見えて。二塁まわってからは覚えていない」。プロ11年目で初めてのサヨナラ打。チームにとっては今季4度目の劇勝だった。

 8回に5番中村晃の代走で途中出場。9回2死一塁で初打席を迎える福田の場面で、打撃コーチは代打明石を提案した。だが、工藤監督は増田の速球に対応できるとそのまま立たせた。すると、この日の初スイングが本塁打となった。工藤監督は「あそこで打てるなんて本当にすごい。一生懸命やっていると野球の神様は助けてくれるよね」と大きな目を普段以上に大きくして驚いた。

 昨季は初めて開幕スタメンをつかんだものの、今季は4年目上林の台頭もあり、先発はわずか3試合。途中出場が続く中、師匠と慕う川崎から、試合で力を出すための準備の大切さを説かれ、心に刻んでいた。今後も激しい競争を勝ち抜かなければ出番は増えない。明日27日から頸椎(けいつい)捻挫で離脱していた内川も合流予定。「僕の中でも大きな1本になった」と存在を大きくアピールした。【石橋隆雄】