「甲斐キャノン」かいくぐって日本一! 広島にドラフト1位指名された報徳学園・小園海斗内野手(18)が7日、兵庫・西宮市内の同校で指名あいさつを受けた。日本シリーズでの広島の戦いぶりを目に焼き付け「来年に自分の力を出して、また日本一を目指せるように」と早くも来季から戦力となる心意気を示した。また俊足自慢の小園は、広島の機動力を封じた「甲斐キャノン」ことソフトバンク甲斐拓也捕手(26)からも「盗塁を決めたいです」と対戦を夢見た。
小園の心はすでに、真っ赤なカープ色だった。「明るいチームなので、自分が合ってるかなという気持ちがある。広島のカラーに染まっていけるように頑張っていきたいと思っています」。4球団が競合した期待のショートは、「出会いに感謝」と広島緒方孝市監督(49)の直筆メッセージが入った交渉権確定札を受け取り、期待に胸をふくらませた。
ドラフト会議後、広島の戦いぶりは日本シリーズであらためて目に焼き付けた。一番印象に残ったのは、第3戦。広島は8-9と惜しくも敗れたが、6点差がついた8回に鈴木のソロ本塁打と安部の満塁本塁打で1点差まで追い上げた。「粘り強い野球をしている。報徳も粘りの野球をしていたので、最後まで諦めない、そこの気持ちを忘れずにやっていきたいです」。小園が3年間を過ごした報徳学園は、甲子園での劇的なサヨナラ勝ちから「逆転の報徳」と呼ばれた。終盤の劣勢でも諦めない姿は、通じる部分がある。
50メートル5秒8の俊足で、広島の前に立ちふさがった難敵にも勝負を挑む。日本シリーズで広島の6度の盗塁すべてを阻止した「甲斐キャノン」こと、強肩捕手のソフトバンク甲斐だ。小園は「すごいなと思いました。広島の機動力をアウトにしていた」と驚きつつも「その中で盗塁を決めたいなと思います」と夢見る。目指すは盗塁数30超えに、盗塁王。そしていずれは大舞台で、自慢の足を見せるつもりだ。
広島は今季もあと1歩、日本一に届かなかった。「来年に、自分の力を出して、また日本一を目指せるように。僕もチームの一員となって、チームに貢献したいなと思います」と意気込んだ。1年目から戦力になり、来年こそ84年以来の日本一へ。「日本一のショート」を目指す、明るくフレッシュな戦力が、力強く宣言した。【磯綾乃】
◆小園海斗(こぞの・かいと)2000年(平12)6月7日、兵庫県生まれ。小学1年から宝塚リトルで野球を始め、光ガ丘中では枚方ボーイズに所属。報徳学園では1年春から正遊撃手。2年春に甲子園出場して4強。昨年、今年と2年連続でU18日本代表に選出。遠投110メートル。50メートル走5秒8。178センチ、83キロ。右投げ左打ち。好きな食べ物はまぐろとサーモンのすしで、好きな芸能人はかみじょうたけし。好きな言葉は「日本一のショート」。帽子のつばにも記していた。