鷹のエースになる。ソフトバンク東浜巨投手が12日、故郷沖縄・うるま市での自主トレを公開した。

一昨年16勝で最多勝に輝いた右腕は昨季肩痛もあり7勝止まり。今季はプロ7年目で初の開幕投手と10完投、180イニングで先発ローテーションを守り抜く意欲を示した。投手陣のリーダーとして引っ張り、リーグ優勝奪回からの3年連続日本一へ導く。

昨年同様に東浜は具志川球場のマウンドから投球練習を行った。だが、今年は捕手を立たせたまま約20球で終えた。「5割くらい。バランスを確認して。昨年はこの時期に座らせてハイペースだったが、シーズンでは最悪だった。今年はスローペースで抑えながらやっている」。昨年はキャンプから飛ばした。一昨年最多勝を取った責任感からだが、結果的には右肩を痛め2カ月半戦列を離れた。

「今年は180イニング投げたい」。規定投球回をクリアし、1年間先発の柱として投げ抜くためにも、今は自らブレーキをかけている。完投にもこだわる。亜大時代は4年間で62試合登板し40完投、22完封と「ミスター完投」だった。「昔に戻るのではなく、進化していって今年は完投したい。2桁はいきたい」。プロでの完投数は通算5で年間最多は2。強力なリリーフ陣が控える中、高い目標を掲げた。「この1試合こいつに任せると言われるような投手にならないと」。数字だけではなくチームから一番の信頼を勝ち取る。

昨季限りで摂津元投手が引退した。東浜が入団した13年は15勝を挙げるバリバリのエースだった。「あの人がいるだけでチームに筋が1本通る。存在感がある。それがエース。そういう選手にならないといけない。なりたい」と言葉に熱がこもった。

ほかにも五十嵐、寺原(ともにヤクルト)とベテランが去った。東浜は今年29歳を迎える。「自分が先頭に立ってやらないと。(リーダーは)絶対にいないといけない。強いホークスを引き継がないと」。亜大時代は投手では初めて主将を任された。責任感も強く、適任といえる。

沖縄での自主トレはこの日で終了。1年間故障せず、完投数も増やすために、今後は鴻江トレーナーの合同トレーニングに参加。千賀や他球団の投手たちと学び、さらにムダのない投球フォームを目指す。「開幕はもちろん投げたい」。真のエースになるためにも開幕投手を奪いにいく。【石橋隆雄】

 

▼近年の2ケタ完投 18年は菅野(巨人)が10完投。セ・リーグでは05年の黒田(広島)の11、三浦(横浜)の10完投以来13年ぶりの2ケタ完投だった。昨季のパ・リーグ最多は多和田(西武)の5完投で、13年年金子(オリックス)の10完投を最後に2ケタ完投の投手は出ていない。ソフトバンクの2ケタ完投投手は、ダイエー時代の94年吉田豊(11完投)が最後だ。