キングがボスへ、強烈なアピール弾だ。巨人アレックス・ゲレーロ外野手(31)が、ソフトバンクとのオープン戦で2戦連発の決勝2号2ランを放った。同点の8回、ドラフト1右腕の甲斐野央投手(22=東洋大)の直球を左翼席へ運んだ。今日13日に2軍からホルヘ・マルティネス内野手(25)が1軍に合流することが判明。打者3人で争うことになりそうな残り1枠の外国人枠生き残りへ、17年セ・リーグ本塁打王が本領を発揮した。

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手に残る感触に、確信を持って歩き出した。同点の8回1死一塁。ゲレーロが、ソフトバンク甲斐野の内角150キロを左翼スタンド上段へ運んだ。「前の打者を見て、ストレートに力があると感じた。簡単な球ではなかったけど、感触はよかったね」。堂々とダイヤモンドを1周した。

開幕まで約2週間前の今、打たなければいけないワケがある。4つの外国人枠のうち、守護神候補のクック、開幕ローテ入りが確実なメルセデス、ヤングマンと投手で実質的に3枠が埋まる。残り1枠を新加入のビヤヌエバと奪い合う。13日には2軍から内外野を万能に守れるマルティネスが合流予定で、競争がさらに激化する。

17年の本塁打王も安泰ではない。昨季は82試合の出場で15本塁打どまり。今季ここまでも安定感を欠き、10日阪神戦ではスタメンから外された。この日も打順は7番。それでも原監督からの「目線を保って体重を残そう」との助言を守り、バリー・ボンズ、ミゲル・カブレラらメジャーの強打者が愛用するサムバット社製のバットを手に「自分の仕事をするだけ。開幕が近づいているから、結果を出すことができてよかった」と2戦連発で応えた。

原監督は「今日みたいないい場面で、ああいうホームランが出ると、チームに対しての信頼感が出ますね」と評価を与えた。北九州市民球場は新人時代の81年に大洋遠藤から初のサヨナラ弾を放った場所。指揮官思い出の地で、ゲレーロが生き残りへ印象づけた。【桑原幹久】