ソフトバンク和田毅投手(27)が13日、最遅球の完全マスターを来季課題に挙げた。変化球を巧みに操る70勝左腕の得意科目から唯一外れているカーブ。キャンプ休日のこの日、和田は「今は(カーブの)信頼度が一番低いけど、右打者にもひざ元を狙ってカウント球で使えるようにしたい」と熱っぽい。現在は1試合に数球程度で納得できる精度もない。宮崎・秋季キャンプのキャッチボールで、複数の握りをテストし、来年1月から本格投球する握りを定める。

 脳裏にある島根・浜田高時代の自分が理想型だ。左投手特有の大きく割れる軌道。「高校時代のような抜け方ができていない。昔はカーブピッチャーでしたからね」。高校3年夏の甲子園で延長10回サヨナラ負けした準々決勝も、最後に投げたのはカーブだった。

 原点回帰ともいえる。今季は8勝。入団から5年続いた2ケタ勝利に届かず「やはり変化球の精度が必要」と再認識した。140キロ強の直球にスライダーとチェンジアップ、フォークボール。120キロ台中心の変化球に110キロ台の正確なカーブが加われば緩急差も広がる。それ以上に「いろいろ選択肢があった方がいい」と直球が不調時のカットボール習得にも取り組む。「技のデパート」として投球の組み立てに幅と深みを持たせる。

 12月下旬には小学1年で野球を始めた愛知・江南市立藤里小に招かれ“後輩”たちと交流する予定。自らの原点に触れる機会が巡ってきたのは偶然でないかもしれない。【押谷謙爾】