貴乃花一門が、日本相撲協会の役員候補選挙(2月2日投開票)に向けて、貴乃花親方(45=元横綱)と阿武松親方(56=元関脇益荒雄)の2人を、理事候補として擁立することで調整していることが30日、分かった。この日、都内で会合を開き、方向性を決めた。理事候補には現時点で9人が立候補予定。貴乃花一門から2人立候補すると、定員10人の理事に対して11人となり、5期連続で選挙が行われる。

 都内の飲食店で行われた貴乃花一門の会合は、2時間半近くに及んだ。一門の親方衆8人のうち大嶽親方(元十両大竜)と立浪親方(元小結旭豊)は欠席したが、一門外から昨年12月に時津風一門を離脱し、無所属となっている錣山親方、湊親方(元前頭湊富士)立田川親方(元小結豊真将)も出席し、9人で役員候補選について話し合った。その中で貴乃花親方、阿武松親方を理事候補として擁立する方針を固めた。

 すでに他の5つの一門は立候補者を固め、計9人が出馬を予定している。貴乃花一門から1人しか立候補しなければ選挙は実施されないが、2人を擁立することになり、2年に1度の役員候補選は5期連続の選挙が実施される見込み。当選には9票は必要とされ、貴乃花一門親方衆の8票に、この日の会合にも出席した無所属親方衆の3票を加えても計11票。当選ラインの18票には届かない。他の一門の票をどれだけ切り崩し、取り込めるかなどを打ち合わせしている段階で、ある親方は「近いうちにまた話し合う」と明言。ギリギリまで票読みを続ける。

 貴乃花親方は一門会の内容を聞かれると「いやいや。まぁ、まだまだ」と、多くを語らなかった。同親方は昨年10月の秋巡業中に起きた、元横綱日馬富士関の暴行事件を、巡業部長でありながら相撲協会への報告を怠ったなどの理由で、今月4日に理事解任処分を受け、役員待遇に降格となった。これを機に一門の枠を超えて支持する親方の減少も懸念され、落選の可能性もある。一方でこの日、阿武松親方は「一門内でもめているという報道もありますが、それはないです。みんなで頑張っていこうという話でまとまりました」と、一門の結束力の高さを強調。あくまで同時当選を目指すが、票固めに至らなければ、一方が自ら身を引く可能性もある。