指揮官の起用に応えた。今季初出場初先発の楽天堀内謙伍捕手(22)が、最初の打席で貴重な2点適時打を放った。

守っても5点を失いながら8回まで5人の投手を懸命にリードし、ワンバウンドの変化球は体を張ってストップ。3カードぶりとなる勝ち越しでの2位浮上に、若い力がしっかりと貢献した。

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気持ちで食らいついた。2回1死満塁の今季初打席。堀内は真っすぐ2球で追い込まれた後、ロッテ石川のシンカーを中前にはじき返した。同点適時打に「ホッとした気持ちが強かったです」。直前のイニングで先発福井が4球で2点を失った責任を痛感していた。

「平石チルドレン」だ。高卒同期のオコエや村林らとともに、2軍監督時代の平石監督に指導を受けてきた。「できることをやらないことには、すごく厳しい人。でも、やっていることをちゃんと見ていてくれる。練習にも、必ず最後まで付き合ってくれました」。何時間も打撃投手役を務めてもらいながら、必死にバットを振った。グラウンドでは厳しさをのぞかせる一方で「同期の選手たちで平石さんの家でバーベキューに呼んでもらったことがあります」。長い時間を一緒に過ごし、信頼を深め、1軍の舞台で戦う今がある。

16日に今季初昇格。スタメンは2日前から伝えられていたという。前日まではベンチで入念に予習。この日の試合中も光山バッテリー兼守備作戦コーチや正捕手の嶋に助言を求めながら、ロッテ打線と相対した。平石監督は「最初のタイムリーは、ものすごくチームに勇気を与えた。落ち着いていたし、ブロッキングもしっかり止めていて、良かったと思う」とした上で、ロッテ・レアードに2打席連発を許した5回の場面に言及。「2死走者なしからのホームランは、バッテリーとして絶対に防がないと」と注文を忘れなかった。

本人も分かっている。「まだまだ1軍のリリーフ陣の良さを引き出し切れていない。取られちゃいけないところで、意思表示をもっとできないと」。平石監督は「堀内も(山下)斐紹も、今後ちょくちょく使っていく」と嶋の疲労軽減を考慮しながら長いシーズンを戦っていく覚悟を示している。全てを糧とし、22歳は1歩1歩成長していく。【亀山泰宏】