助っ人大砲が、いよいよスイッチオンだ。日本ハムのクリスチャン・ビヤヌエバ内野手(28=巨人)が23日、ヤクルトとのオープン戦(タピックスタジアム名護)で移籍後初安打を放った。

4回先頭で左中間フェンス直撃の二塁打。正三塁手として昨季の弱点を埋めることが期待されるキーマンは、実戦5試合11打席目で灯した待望の「Hランプ」をきっかけに、開幕へ向けて状態を上げていくと宣言した。

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ビヤヌエバが4回、真ん中低めの直球を気持ちよく振り抜いた。テレビ中継のスピードガンで150キロの真っすぐを捉えると、打球はグングン伸びて左中間フェンスに直撃。相手守備もクッションボールに素早く反応していたが、全力疾走で一気に二塁を陥れた。「バットのいいところに当たってくれて、遠くまで飛んでくれた」。移籍後初安打は、あと少しで本塁打となる二塁打となった。

試運転は完了だ。22日巨人戦までの実戦4試合9打席で無安打も「焦りはなかったよ」。狙いを持って打席数を重ねてきた。「いっぱい打席でボールを見てタイミングを合わせたり、どういう攻め方をされるのかを見たいと思っていた」。徐々に実戦勘を取り戻しながら「(この日は)少しずつ結果を出していきたいところだった。そういうプランでした」と青写真通りに結果を残した。栗山監督も「これで自分が一番安心するだろう」と喜んだ。

残り2日となった春季キャンプを過ごす中で、チームにすっかりなじんだ。「ヒットが出なくてもチームメートにタイミングやスイング、球種のことを聞いたりしている」。中でも「ハルキはロッカーが隣なので、よく話します」という。名前を挙げられた西川主将は「教えるとかはないけど」と前置きした上で「巨人の選手からも、すごいいいヤツだと聞いていたし、その通りだった。もともとメジャーで、打っていた人間。去年は打てなかったかもしれないけど、絶対に打てる」とチーム内の期待を代弁。この日もベンチにいた全員が移籍後初安打を祝福した。

ビヤヌエバは昨季の苦い経験を踏まえて、キャンプではフォークなどの落ちる系のボールへの対処に重点を置いてきた。「これからは打席数も増えてくるし、フル出場も増えてくる。ここからは結果にこだわっていかないと、開幕に間に合わない。この1本を、1つのきっかけにしたいね」。チームが求めていた、軽快な守備力と強打を併せ持つ新戦力は、開幕を見据えて一気にギアを上げていく。【木下大輔】

◆ビヤヌエバ打撃成績 米パドレス在籍の18年は出場110試合で、左投手に対して打率3割3分6厘、14本塁打と得意としていた。巨人に移籍した19年は出場73試合(先発64試合、代打9試合)にとどまり、8月11日ヤクルト戦に先発「7番・三塁」で出場したのを最後に以後出番なし。対左投手は打率2割3分、4本塁打で対右投手は打率2割1分9厘、4本塁打だった。

◆クリスチャン・ビヤヌエバ 1991年6月19日、メキシコ生まれ。メキシコ・ハリスコ州第25共学校出身。08年にアマチュア・フリーエージェントとしてレンジャーズと契約。カブスを経て、パドレスに移籍後の17年9月18日にメジャーデビュー。巨人でプレーした19年は11月にメキシコ代表の4番としてプレミア12にも出場した。180センチ、95キロ。右投げ右打ち。今季推定年俸8000万円。