「亀井ビート」に乗った。巨人大城卓三捕手(27)が、DeNAとの練習試合(東京ドーム)で逆方向への1発を含む3打数3安打2打点と大暴れした。同じ左打ちの先輩亀井の打撃フォームにヒントをつかみ、21日の同戦に続き、2戦連発と止まらない。小林、炭谷と繰り広げる正捕手争い。3年目にして、初の開幕マスクの座がクッキリと見えてきた。

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1点リードの3回先頭。大城は、DeNAの新外国人ピープルズに2球で追い込まれた。3球目。相手の投球モーションが始まる前から、右足で小刻みにステップを踏み始めた。足とともに、バットも動かす。始動を早め、刻んだビートで高めツーシームを懐に入れた。「今までにあまりない。自分でもいい感じ」と無人の左翼スタンドで、大きな衝撃音を奏でた。

1発にとどまらず、4回に内野安打、5回には中越えの二塁打。3打数3安打2打点と大暴れだった。4回の打席は3球で追い込まれながらも、8球粘り、9球目をしぶとく打ち返したもの。「キャッチャーやってて、ああいうことをされたら自分も嫌だな」とバトルに打ち勝った。21日は武藤のフォークを右翼席へ。リズムに乗り、右に左と止まらない。

ベテランの“ビート”を落とし込んだ。今月中旬から打撃の始動を早めた。体全体を揺らすような動きで、ボールを引き込む。「亀井さんのタイミングの取り方を参考にしました。立ち遅れないように」と先輩の打撃フォームから着想。昨年は109試合で6本塁打。ルーキーイヤーの18年も83試合で4本塁打だったが、打てる捕手が本来の力を発揮している。

ディフェンス面でも成長した姿を示した。田口、宮国らを巧みにリード。7回までマスクをかぶり、与えた得点はオースティンの1発のみ。前日と合わせ、2戦で失点は「1」だ。

キャンプでは一塁のレギュラー候補としてスタート。宮崎では一塁に専念したが、打撃不振で沖縄で捕手に戻った。昨季捕手での先発は30試合。68試合の小林、41試合の炭谷に次ぐ存在だった。試合後の報道陣の囲み取材中、徳光和夫さんから「キャッチャー好きですか?」と聞かれ、笑顔で「はい」と答えた3年目。開幕マスクを勝ち取り、ファンの大歓声を体全体に刻む。【栗田尚樹】