広島大道温貴投手(22)が、プロ初先発で5回無安打無失点と快投した。「日本生命セ・パ交流戦」のオリックス戦。初回こそ2四球を与えたが、2回以降は1人の走者も許さなかった。打線の援護なく先発初勝利はお預けに。ただ、7回まで完全投球を続けたオリックス山本由伸投手(22)と堂々と渡り合った。チームは引き分けを挟み5連敗。借金は今季ワーストの10となり、交流戦は開催のない20年を除いて3年連続の負け越しが決定したが、ルーキー右腕の好投が敗戦の中の光となった。

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大道が、プロ初先発のマウンドで同学年の山本と渡り合った。初回に2四球を許したが、2回以降は1人の走者も出さずにオリックス打線を圧倒した。中継ぎとして17試合に登板し、最長2イニングだった右腕は「5イニングも投げれると思ってなかったので、自分の中では出来すぎかなとは思ってます」。山本と同じく5回までスコアボードに「0」を並べた。

ボール先行の立ち上がりから立て直した。初回に1死一塁から、吉田正に2ボールを与えたところで会沢がマウンドに向かった。しかし「マウンドに来られたのは覚えてますけど、何と言われたかは少しも覚えていないです」と苦笑い。吉田正は四球で出塁させたが、後続を断ち、無失点に切り抜けた。

2回以降は無双を続けた。1死から杉本への4球目、内角直球でバットを折ったところが好投の起点となったという。「会沢さんが内角のサインを要求してくださって、杉本さんのバットを折ったところくらいから、内角に決まりはじめて、今日の生命線が見えた。心に余裕ができたかなと思います」と振り返った。

待ち望んだ投げ合いだった。山本が都城時代にバッテリーを組んでいた山本陽盛氏が、大道の八戸学院大時代の正捕手だったという。大学時代から山本の話を聞いていたという大道は「1年目から『次元が違うな』と思っていました。ずっと注目して見ていた投手なので、投げ合えて勉強になりました」と話した。

佐々岡監督は初先発で力投した右腕について「5回までで上出来というか、最長が2回までで球数も投げてなかった。あそこまでで十分」と評価。今後の起用については「明日またミーティングして考えます。ナイスピッチングだったからね」と話すにとどめた。大道は「今日は中継ぎでやってきた1イニング1イニングを大事にしていくという成果が表れたと思う。次からも先を見ないで、1イニングずつ投げていきたいなと思います」。打線の援護なく先発として初勝利はお預けとなったが、次につながる堂々の先発デビューだった。【古財稜明】

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