川崎フロンターレの鬼木達監督(43)は優勝後の監督会見の際、報道陣から拍手で祝福された。

 会見では「シルバーコレクターと言われているプレッシャーが、ずっと付きまとっていたので、そういうものから、やっと解放された」と、つかみ取った初Vの大きさを強調した。会見での主な一問一答は、以下の通り。

 鬼木監督 満員のサポーターの中でプレーできたこと、そういう環境をつくってくださったことに感謝しています。選手がプレッシャーがある中で結果を出したこと、前半から点を取っていこうという中で、最初と最後になりましたけど、そういうものが鹿島アントラーズのプレッシャーにもなったと思いますし。そういう意味では、言っていたことを体現してくれた、最後まで戦い続けてくれた、最後、自分たちらしい形で点を取り続けてくれた。本当に選手には感謝しています。本当に1年間、多くのサポーターが、特に今年はホームで雨が多かった中で来てくれて…今日は天気も良くて、本当に良かったと思います(笑い)。

 -ハーフタイムの指示

 鬼木監督 前半、早く点が入ったので大事に行きすぎたのかなと。前へ、前へと言ったのに、なかなかいけなかった。動きだしている選手をしっかり使え、サイドも空いているのでサイドチェンジも使って、ダイナミックにいけと言った。

 -涙も見えた。OBであり指導者としても長い。率直な感想を

 鬼木監督 当然、うれしかったというのはある。その前にルヴァン杯、アジア・チャンピオンズリーグと大きな敗戦があり、悔しかった。僕自身、最後の結果は知らなかったので、ウワァーと喜んでいたので勝ったのかなと。言葉で言い表せないくらいうれしいし、フロンターレの時計が動きだした。サポーターへのスピーチも考えていなかった…そんな感じです、今は。

 -今季、主将のFW小林悠、MF中村憲剛が引っ張った。どう思う?

 鬼木監督 悠に関しても最初は難しかったと思うが、得点にこだわって得点王。態度で示しチームを引っ張ってくれた。憲剛は1番年長…年下から気を配ってくれた。感謝しています。

 -負けることで成長しながら、そのたびに勝てなかった。今につながったことは?

 鬼木監督 正直、まだ何で勝ち取ったか自分自身でははっきりしないところがある。僕もそうだけど敗戦を引きずらないのが大事だと思った。監督という立場で、先頭に立つ意味もありますけど、現役時代の時、負けて次の日、笑顔があるとイライラした。自分がこういう立場になると、下を向いたところに活気はない。笑顔のところに活気がある。それが今日につながった。自分が引きずっていないよ、次に向かうんだよ…と。引きずっても、何も変えられない。未来を変えるのは自分たちなので。

 -勝てなかった時期に「楽しんでいる」と言っていた。本当は苦しかったのでは?

 鬼木監督 どっちもありました。苦しい時期もありましたけど、自分自身も選手も成長している実感があり、苦しい中で楽しんでいるのは本当。優勝したから笑顔で終われたけれど、2位で終わったら違う思いがあったかも知れない。

 -ターニングポイントは

 鬼木監督 まぁ…僕の中では幾つもある。大きな敗戦と言えばアジア・チャンピオンズリーグ、ルヴァン杯。攻撃的なチームという形でスタートした中で、ホームで最初に変えたのはDFの奈良だと思う。攻撃的なチームでありながら、交代によって変えたら、歯車が狂ったかもしれない。簡単に負けないチームを作りたかった。簡単に負けないよ、という今年の決意もあった。

 -FW小林悠の得点王をどう評価する?

 鬼木監督 やはり彼の努力はすごくありますし、得点でチームを引っ張ろうという決意が、最後になって表れましたし。もちろん、プレーという面では彼にも要求したいことはあるし、伸びる要素もある。来年は、得点もそうですし、まだまだ違うところでも成長していって欲しい。

 -「動きだした」と語った川崎Fの時計を、どの方向に動かしたいか

 鬼木監督 やはり、動きだしたというのはクラブも、選手もそうですし、過去の、いろいろなもの…シルバーコレクターと言われているプレッシャーが、ずっと付きまとっていたので、そういうものから、やっと解放された。ここからは、追われる立場になります。だけども、それをしっかり楽しみながら、来年に向かっていければ、という意味で言いました。

 -このサッカーで優勝するのは日本サッカーに価値がある。気概は?

 鬼木監督 そうですね…そこは難しいですけどね(苦笑い)。選手もそうですし、僕もそうですし、このサッカーが、やはり世界に通用するものだと信じていますし。例えば、本当に強いバルセロナだ、レアル・マドリードだというところと10回やって、そのうち1回の勝ちを狙うなら、下がってカウンターとかでも、10回のうちの1回が1発目に来るかも知れない。やはり自分たちが(主導権を)握って、攻撃して…そういうサッカーをすることによって、もしかしたら可能性を五分まで持っていけるかも知れないですし。そういう思いで、今のサッカーを続けているので。自分たちが日本サッカーを、と言うと本当に大きな話になってしまいますけど、それくらいの気持ちで先頭に立っていければいいな、という思いはあります。

 鬼木監督は約15分の会見を終えると、再び報道陣から拍手を受けて、会見場を後にした。【村上幸将】