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唯一のオスカー獲得ナンシー梅木って?
23日、映画「バベル」で第79回米アカデミー助演女優賞にノミネートされた菊地凛子(26)が25日(日本時間26日)にロサンゼルスで行われる授賞式出席のため成田空港を出発した。受賞すれば、58年に「サヨナラ」で助演女優賞を獲得したナンシー梅木(77)以来、日本人俳優として2人目の快挙になる。49年ぶりの期待を背負う菊地とともに浮かび上がった伝説の女優は今、米国でひっそり暮らしている。
これまでアカデミー賞にノミネートされたアジアの俳優は菊地や「ラスト・サムライ」の渡辺謙ら6人。受賞したのは梅木だけで、菊地のノミネート以来、複数のマスコミが行方を追ったが、連絡をとることはできていない。米国の日系社会でわずかにつかんだ情報によると、2000年以降、リタイアした説が濃厚だ。ハワイ移住や、ミズーリ州の小さな町で長男とその家族と住んでいる説がある。
伝説の女優の原点はジャズ歌手だった。48年にデビュー、50年に人気バンド、ゲイ・セプテットにボーカルとして参加。米軍クラブやナイトクラブなどで活躍したジャズ歌手の草分け的存在で、ミュージカル映画にも出演していた。
55年、米国で音楽の勉強を開始した。当初はクラブで歌っていたが56年、人気オーディション番組「アーサー・ゴットフリー・ショー」に出演。着物姿で歌い優勝した。オーディション番組がブレークのきっかけになったのは、菊地の最大のライバルで「ドリームガールズ」のジェニファー・ハドソンと似ている。
優勝をきっかけに出演したマーロン・ブランド主演の「サヨナラ」は、朝鮮戦争下、米国軍人と日本人女性の悲恋を描く。貞淑な女性カツミを初々しく演じる姿は、グラマラスなハリウッド女優の中で新鮮に映った。オスカー受賞後はブロードウェーに進出。58年開演のミュージカル「フラワー・ドラム・ソング」で演劇界の最高峰トニー賞最優秀ミュージカル女優賞にノミネートされた。ただし、華々しいキャリアはそこまでで、十数本の映画やドラマ、舞台に出演したが、目立つヒット作はなかった。
私生活では2回結婚したが、76年に再婚相手と死別。以降、ショックを隠すように表立った活動はない。日本人がオスカー候補になるたびに、表舞台に現れる「ナンシー梅木」。菊地の姿をどこで見守るのだろうか。
[2007年2月24日7時48分 紙面から]
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