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市川崑さんひつぎに中井貴一がキャメル
13日に肺炎で亡くなった映画監督の市川崑さん(享年92)の葬儀と告別式が15日、都内の自宅近くの教会で営まれた。遺族の希望で参列は親族約10人だった。関係者によると、ひつぎには中井貴一(46)から贈られた好きだったたばこ「キャメル」が納められた。また、都内で行われた第31回日本アカデミー賞授賞式で、最優秀主演女優賞の樹木希林(65)が哀悼の意を示すなど、日本映画界が巨匠とお別れした。
クリスチャンだった市川さんの告別式は自宅から数分の距離にある教会で営まれた。83年に亡くなった妻和田夏十さんとお別れした場所で、遺族の強い要望で選ばれた。教会内には親族10人だけ。外では「市川組」のスタッフ、映画関係者約20人が見送った。
関係者によると、ひつぎには好きだったキャメルのほか、映画「どら平太」と「犬神家の一族」の台本が入れられた。キャメルは「ビルマの竪琴」に主演した中井貴一(46)が14日夜、弔問に訪れ「好きだった、たばこをひつぎに入れてあげてほしい」と1カートン持ってきたものだった。くわえたばこがトレードマークの愛煙家も、闘病中は控えめにしていた。遺族が「煙たくないように」と1箱だけ、ひつぎに納めた。
教会を出た遺族が遺影として抱えていたのは市川さんの「肖像画」。関係者は「市川さんの長女だと思うが、子供のころに市川さんの顔を描いたもの」と説明した。市川さんのお気に入りの絵で自宅仕事場に飾られていたという。
市川さんが第1回優秀監督賞をはじめ、監督、脚本部門などで8回受賞した日本アカデミー賞授賞式会場では哀悼のメッセージが流れるなど多くの映画人が、巨匠の死を悼んだ。最優秀主演女優賞を受賞した樹木は、前日弔問した数少ない1人だった。「80本目の映画を撮りたいとずっとおっしゃっていましたが、80本目は後に続く人たちに任せるよ、というお顔で静かに眠っていらっしゃいました。後に続く皆さんに頑張ってもらいたいですね」。市川さんの遺言を読み上げたようなスピーチに、多くの出席者が静かに聞き入っていた。映画関係者を集めたお別れ会は後日あらためて行われる。会場は市川さんが多くの作品を撮影した東京・成城の東宝スタジオが予定されている。
[2008年2月16日8時45分 紙面から]
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