【札幌レター〈59〉】長谷川竜也が地元へ凱旋 静岡・沼津への熱い思い
静岡県沼津市出身の北海道コンサドーレ札幌MF長谷川竜也(30)の凱旋(がいせん)に、地元がわいた。17日ルヴァン杯2回戦J3沼津アスルクラロ戦(愛鷹広域公園多目的競技場)に後半から出場し、3-1での勝利に貢献した。沼津市内で2年前からサッカースクールやジュニアユースチームを立ち上げ、地元への恩返しの思いは強い。本人は「愛と言うと行き過ぎ」と照れるが、「沼津愛」について聞いてみた。
サッカー
◆長谷川竜也(はせがわ・たつや) 1994年(平6)3月7日、静岡県沼津市生まれ。6歳でサッカーを始め、門池SSS-静岡学園中-静岡学園高-順大をへて、16年に川崎Fでプロ入り。優勝はJ1で4度、ルヴァン杯1度、天皇杯1度の6冠を経験。22年横浜FC、23年東京Vでプレーし、24年から札幌に加入。J通算160試合20得点(J1通算114試合15得点)。家族は妻と2女。164センチ、60キロ。
思い出の愛鷹
長谷川はプロ入り後初めて地元のクラブ沼津との試合に臨んだ。「まさか対戦できると思っていなかったので、楽しみな気持ちでいっぱい」と心待ちにしていた一戦だ。同クラブのホームでもある会場の愛鷹は「なじみがある。最後の試合は勝ったので、いい思い出がある」。静岡学園3年時の11年、高校総体県予選準決勝の浜松開誠館戦(1-0)以来。静岡学園はその後、県予選で優勝し、全国に出場して準優勝した。試合は高校生以来だが、昨年12月にサッカー教室のイベントを行うなど、よく足を運ぶ場所だ。
長谷川はベンチスタート。札幌の先発11人は、自身が小学生時代に所属していた門池SSSの選手が務めたエスコートキッズと一緒に入場した。着ていた「KADOIKE」の文字が入ったユニホームは、寄付したものだ。後半開始から投入されると、前線の一角に入り、前半よりも攻撃が活性化した。一時1-1の同点に追いつかれても、勝ち越した。
「今までに感じたことがないくらいのふわふわした感じがあった。地元でJリーグの公式戦。不思議な感じになった。地元のみんなもまさかプロとして戻って来るなんて、ないと思っていたと思う」
「ふわふわした感じ」
会場には代表を務めるサッカースクールやジュニアユースチームのコーチ、選手ら約200人の大応援団が駆けつけた。会場近くに住む祖父母も観戦し「余生を楽しんでいるじいちゃん、ばあちゃんとか、いろんな人が見に来てくれた。(プレーを)見せられて良かった。喜んでいた」。試合後は小中学生の教え子たちにあいさつする機会があった。
「少しでも『僕もプロになりたい』ってきっかけになったら。僕は実際にプロになったからこそ、簡単な世界ではないっていうのはあるけど、あこがれられるような姿を地元で見せられたのは、すごい感慨深い」
長谷川は沼津愛にあふれる。「愛と言うと行き過ぎ」と照れるが、使命感を持ち、行動している。22年に小学生対象のサッカースクール「TATSUYA HASEGAWA FOOTBALL ACADEMY」(THFA)を開校した。23年からは中学生対象のジュニアユースチーム「FC沼津」を本格始動させた。どちらも沼津市を本拠地に活動する。代表を務め、コーチとして指導する。小中高時代のチームメートで「彼がいたからできる。親友と呼べる仲」の野田侑成コーチ(30)らとともに取り組む。
「僕がやるべきことだと思っている。沼津で生まれ育った者として、だんだん過疎化している感じがあって、盛り上がってくれたらという思い。僕ができることは少しでも子どもたちがサッカーができる環境の手伝いとか。僕の活動や活躍で少しでも沼津に興味を持ってもらったり、街がにぎわってくれたら。沼津っていいところなので」
練習や試合の合間を縫って、シーズン中でも1~2カ月に1度のペースで顔を出している。現役プロサッカー選手である今だからこそ、取り組む意味があると考える。
「自分はサッカー選手から直接何かを教わったりという機会がなかった。当時沼津市出身の現役の選手では伸二さん(元日本代表MF小野伸二氏)がいたけど、僕が小学生の時は海外で活躍されていたので。僕自身がサッカー選手であるうちに、現役の時にしか伝えられないことがたくさんあるので、そういうものを沼津の未来ある子どもたちのために伝えたいなって思って始めた」
子どもたちへの責任
引っ越し先の幼稚園で友達づくりのためにチャイルドサッカーを始めたのが、サッカーとの出会い。
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北海道札幌市生まれ。2013年から高校野球などアマチュアスポーツを担当し、2016年11月からプロ野球日本ハム担当。
2017年12月から北海道コンサドーレ札幌担当。冬季スポーツの担当も務め、2022年北京五輪ではノルディックスキー・ジャンプや複合を取材。
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