【宇都宮ブレックス〈35〉】潜入! 3刀流・渡邉裕規の日常(下)

プロバスケットボール選手、ラジオのパーソナリティー、そして農業従事者。大谷翔平を超える「3刀流」、渡邉裕規の毎日はとても忙しい。シーズン中のある日、渡邉選手の日常に潜入してみました。今回の潜入先は、渡邉選手が4人の仲間と一緒に「農」を通じて笑顔を増やすプロジェクト「UTSUNOMIYA BASE」です。

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えっ、渡邉選手が車で迎えに… まさかの事態

「ただいま東北新幹線は東京-仙台間において運転を見合わせております。運転再開の時刻は今のところ分かりません」

東京駅でやまびこ号の自由席に乗り込んだ私は車内アナウンスに動揺した。

4月2日朝。福島~白石蔵王駅間で保守用車両から油漏れが発生し、その影響で新幹線が止まった。宇都宮駅での待ち合わせの時間まで90分を切っていた。

前日夜遅く、UTSUNOMIYA BASEの最年少メンバー、清水玲音(しみず・れお)さんからショートメールが入った。2日は宇都宮駅まで清水さんに迎えに来ていただき、農場まで車で案内していただく手はずだった。

「諸事情で僕は行けなくなってしまいました。明日は渡邉が直接、駅にお迎えにあがります」

驚いて「タクシーを使います」と伝えようと思ったが、清水さんを挟んで深夜にやりとりをする方が逆に迷惑かもしれない。渡邉選手の好意に甘えることにした。

ところが翌朝、新幹線が止まってしまった。運転再開を待つか、取材日を変更するか。私は在来線に乗り換え、宇都宮に向かった。

着いたのは当初の約束から40分遅れ。渡邉選手には清水さん経由で到着時間の変更を伝えてもらってはいた。それでも、貴重な時間を削ってしまったことには変わらない。私は遅刻をわびた。

「全然、大丈夫ですよ。ウエイトトレーニングをやっていましたから。ブレックスは今日、自主練習なんでね。昼から畑に出るんで、午前中にウエイトやってました」

気を使ってくれたのだろう。渡邉選手は何事もなかったかのように車を発進させた。

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1988年入社。プロ野球を中心に取材し、東京時代の日本ハム、最後の横浜大洋(現DeNA)、長嶋巨人を担当。今年4月、20年ぶりに現場記者に戻り、野球に限らず幅広く取材中。