第87回全国高校ラグビー大会
尾道がAシード追い詰めた/高校ラグビー
- 伏見工に敗れた尾道フィフティーンは、スタンドの応援団にあいさつ(撮影・上田博志)
<高校ラグビー:伏見工26-15尾道>◇準々決勝◇3日◇花園ラグビー場
Aシードを追い詰めた-。第87回全国高校ラグビーは3日、東大阪市の近鉄花園ラグビー場で準々決勝を行った。広島県代表の尾道は一昨年の覇者、Aシードの伏見工(京都)と対戦。前半を0-12で折り返すと、反撃に出た後半は3トライ。追加点を奪われ惜敗したが「魂のタックル」で観客の感動を呼んだ。2回戦で前回大会優勝校の東海大仰星(大阪第1)を下すなど旋風を巻き起こした尾道。広島勢初の日本一へ向けて今日から再スタートだ。
身上の「前に出るディフェンス」の真骨頂だった。前半はほとんど敵陣に入れない。右へ、左へ次々展開される。4分、伏見工に完全にウラへ出られた。ここで1年生SO下地がビッグタックル。危機を救った。
前半12分に先制されてもまったくひるまない。伏見工の攻撃に尾道の選手が次々頭から飛び込む。結局前半2トライを奪われるが、ディフェンスで互角の展開に持ち込んだ。
ハーフタイムに鹿田がゲキを飛ばした。「残り30分、出し切らないと意味がない」。そして反撃が始まる。下地が得意のダミーパス、ランプレーで相手の裏に出てつなぐ。FWが前に出る。9分にNO・8小野が追撃の初トライ。その後伏見工に突き放されても全員が前に出た。26分、今度は得意のモールをインゴールまで押し込む。終了間際にもCTB加納が意地のトライ。後半だけみれば15-14。梅本監督は「要所で魂のタックルが出た。本当によくやってくれた」。
大阪出身のSO下地は中学3年時、啓光学園、東海大仰星から誘いを受けていた。悩んだ末、尾道に決めた理由は「文武両道の方針に惹かれた」。尾道のラグビー部員はほぼ全員が寮生活を送る。10時消灯、4時起床。毎朝、登校前に勉強する。梅本監督は「ラグビーだけじゃなく、人間的に成長してほしい。そういう伝統を作っていきたい」。
創部6年目の挑戦は終わった。下地は「まだ1年しかたっていないけど、尾道に来てよかった。来年花園で伏見工とやって勝ちたい」と前を向いた。広島初の優勝へ。司令塔・下地がチームを導き伝統校に挑んでいく。【網 孝広】
[2008年1月4日11時57分 紙面から]
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