福井工大福井・北村、父子2代で聖地弾は夏持ち越し

試合後の応援席へのあいさつを終え引き揚げる福井工大福井ナイン(撮影・清水貴仁)

<センバツ高校野球:智弁学園4-0福井工大福井>◇20日◇1回戦

 高校通算33本塁打を誇る福井工大福井・北村進太郎内野手(3年)が父子2代の夢を夏に持ち越した。

 「4番三塁」で先発し、初回1死二、三塁の先制機で空振り三振。2、3打席目も得点圏に走者を置いて凡退した。8回の左前打で一矢報いるも「(好機を)ことごとくつぶした。チームのみんな、応援してくれた人に申し訳ない。責任を感じています」と肩を落とした。

 アルプス席から見守った父賢吾さん(45)は福井商出身で、88年の春夏甲子園に出場。夏の1回戦だった東陵(宮城)戦では、流し打ちで右翼スタンドに運ぶ本塁打を記録した。北村は雑誌やYouTube(動画サイト)で父の姿を何度も見返してきた。試合前には「『ここで本塁打を打ったんだ…』って感心しています」と周囲を笑わせ、「自分の本塁打で流れを変えられたらうれしい」と意気込んでいた。

 前夜は「普段しないんですけれど」と就寝時に音楽鑑賞。お気に入りの清水翔太の曲を聴いたが「普段と違うことをしても良くなかった」と10分でやめた。普段のルーティンが変わるほどの緊張ぶり。5時間半の睡眠で試合を迎えた。父からの「逆方向に打っていくぐらいでちょうど良い。セカンドの頭に強く打っていくイメージ」という助言は、ガチガチのスイングに打ち消された。

 北村が5歳のころから週3日、1日200球の打撃練習に寄り添った父は「できれば甲子園でホームランを打ってほしい」とポツリ。初の甲子園は息子にとってほろ苦い思い出になった。

 「『お父さんはチームのことを考えてプレーしていたんだな』と思った。『絶対につなぐ』という気持ちで最短距離でバットが出たから、芯を食って泥臭く逆方向に打てたんだと思う。この甲子園という舞台で自分のバッティングができたお父さんはすごい。夏のための課題になった。お父さんのためにも、必ず夏に戻ってきて(本塁打を)狙いたい」

 北村の口から出たのは父を尊敬する言葉。夏への再出発に、大きな宿題を授かった。