札幌日大190センチ右腕・蠣崎5回10K&1号

公式戦初登板で5回1安打10三振と好投した札幌日大の先発・蠣崎(撮影・永野高輔)

<秋季高校野球北海道大会:札幌日大9-0札幌東豊>◇5日◇札幌地区Eブロック2回戦◇札幌麻生

 昨秋準優勝の札幌日大が札幌東豊を9-0の7回コールドで下し、初戦を突破した。公式戦初登板初先発となった190センチ、82キロの長身右腕・蠣崎龍(りょう)投手(2年)が5回1安打10奪三振の快投。11季連続の道大会出場へ弾みを付けた。

 背番号7の札幌日大・蠣崎が鮮烈デビューを飾った。6者連続三振でスタートし、62球中、変化球はわずか2球。最速135キロの直球で押しまくり5回10三振を奪った。「すごく緊張した。ブルペンで変化球のキレが悪かったから直球でどれだけ通用するかやってみたかった。でも正直、ここまで三振が取れるとは思わなかった」と振り返った。

 打撃でも非凡な才能を披露。2-0の4回1死、バックスクリーンへのソロ本塁打で貴重な追加点をもたらした。練習試合も含め初の1発が、今秋の大会1号となった。秋場拓也監督(29)は「打つのも上手なので背番号7にしてますが、まさか本塁打が出るとは」と驚いた。

 夏までは長い手足をもてあましていた。投球動作が大きく、制球難から四球で走者を出し、簡単に盗塁される。安定感に欠け、既に投手陣の一角だった同学年の石井や木山に後れを取っていた。新チーム発足後は、腹部と背中付近の体幹を徹底強化し、体を無駄なく動かす練習に専念。初陣で結果を出し「手足を振り回すのではなく、体を回すことで腕を振れるようになった」と効果を口にした。

 旭川神居東小2年時に、極真空手の北海道低学年王者に輝いた。弟将さん(旭川緑が丘中2年)は小6からバスケットボールの世代別日本代表。兄弟ともに運動センス抜群で、コツさえつかめばのみ込みは早い。「打撃も投球も空手の蹴りも、腰から回すという根本的な部分は似ている」と他競技で培った感覚も進化に役立てている。

 スタンド観戦だった昨年の夏、秋は道大会準優勝。「もう目の前で胴上げを見るのは嫌」と強い口調で話した。この日、札幌日大は蠣崎から太田、斉藤と右腕3人で完封リレー。さらに前チームから主力の石井、木山の両左腕もいる。万全の左右5本柱で、センバツ切符を取りにいく。【永野高輔】