名取北・朽木、先輩岸も立つマウンドでの飛躍誓う

校内に飾ってある卒業生の楽天岸のユニホーム前で活躍を誓う名取北・朽木(撮影・鎌田直秀)

 楽天岸孝之投手(33)の母校でもある名取北に「ドクターK」がいた! 春季高校野球宮城県大会の組み合わせ抽選会が14日、仙台市内で行われた。南部地区予選3戦で計30奪三振の名取北エース、左腕の朽木(くちき)悠真(3年)は最速135キロながら、切れ味鋭い直球と3種類の変化球が武器。19日の1回戦は楽天生命パーク宮城で松島との対戦が決まり、先輩も立つマウンドでの飛躍を誓った。上位3校は、6月7日から青森県内で開幕する東北大会に出場する。

 名取北のエース朽木は、三振にこだわる。名取との地区予選1回戦は延長10回を完投し、3安打14奪三振。仙台西相手の準々決勝も4安打10奪三振で完投。準決勝では昨秋県3位の仙台南に4-5と惜敗したが、内容には手応えを得た。「直球の調子が良くなかった中での結果なので自信も得ました。極論は27個の三振を取りたい。『投手の実力=奪三振』だとも思っている。プロのスカウトや大学も三振には注目する」。昨夏の県大会1回戦で対戦した仙台・佐藤隼輔投手(筑波大1年)に18三振を喫した翌日新聞の大きな扱いに、三振への思いはさらに強まった。

 1年秋の県大会の好投が成長の糧となった。優勝した仙台育英に敗れたが、5安打1失点。「自意識過剰かもしれないが『名取北には育英を抑えた投手がいるから対戦が楽しみ』と思ってくれていると思う。それに恥じない選手になる意識が変わりました」。昨秋までは、ほぼ直球のみ。今冬、動画で巨人杉内のチェンジアップを研究。後輩が投げていたスライダーも伝授してもらった。中学時代に投げていたスローカーブも交えて、直球を生かす投球術を習得し、ラストイヤーに挑む。

 岸は尊敬する先輩だ。憧れは同じ左腕の楽天松井。愛島(めでしま)小5年で投手を始めた頃から、桐光学園(神奈川)で甲子園を沸かした奪三振ショーを夢見てきた。今でも三振を奪った後にダッシュでベンチに戻る姿をまねている。初戦は2人が活躍する大舞台。「昨春以来2回目ですが、投げやすかった。松井投手のように楽しんで投げたい」と意気込んだ。

 今春は4地区予選すべて、公立校が第1代表になった。県大会前の最終登板となった12日の山形南戦では、6回1失点と調子は上向き。「春はベスト8で夏のシード権を取らないといけない。夏は甲子園に出場します」。公立旋風の中心となってみせる。【鎌田直秀】

 ◆朽木悠真(くちき・ゆうま)2001年(平13)2月26日、宮城・名取市出身。リフティングが3回できずにフットサルを断念し、愛島小4年から愛島スポーツ少年団(現愛島ブレイブハーツ)で野球を開始。名取一中を経て、名取北では1年夏からベンチ入り。2年秋は県8強。174センチ、73キロ。左投げ左打ち。家族は両親と弟。