八戸学院光星、東北の夢背負い甲子園乗り込む/青森

優勝の瞬間、抱き合う八戸学院光星の中村(右)と秋山

<高校野球青森大会:八戸学院光星6-4弘前学院聖愛>◇22日◇決勝◇弘前市運動公園野球場

 八戸学院光星が6-4で弘前学院聖愛を下し、2年ぶり9度目の甲子園出場を決めた。強力打線が力を発揮し、着々と加点。後半聖愛の反撃を受けたが、2点差で振り切った。昨年1年間、県大会無冠に終わった光星が春夏連覇で復活。甲子園3季連続準優勝(11年夏~12年夏)以来の強力チームが、今度こそ全国制覇を目指す。

 優勝の瞬間、ナインは大きな雄たけびを上げ、跳び上がり、抱き合った。ライトに回っていたエース福山優希(3年)や主将の長南佳洋中堅手(3年)の目から大粒の涙がこぼれた。県優勝から遠ざかっていた間の苦しさ、練習の苦しさ、すべてがこみ上げた涙だった。

 光星が得意の先制攻撃をまたも決めた。1回裏、1番近藤俊太二塁手(3年)が四球で出塁。バントで二進すると、3番長南がセンターへ二塁打を放ち1点を先制。さらに2死一、二塁で6番矢野虎弥右翼手(3年)が左翼越え二塁打を放ち2点目を挙げた。

 2回戦から決勝まで5試合すべて初回に得点した。特に近藤俊は5試合すべて先頭で出塁し、得点のホームを踏んだ。驚異の先頭出塁率100%だ。近藤俊は「内容はどうでも、何が何でも先頭で出塁するつもりだった」という。

 打線は10安打で6得点。聖愛の投手陣にやや苦しんだが、後半底力をみせた。6回には先頭の7番下山昂大三塁手(2年)が左翼席に豪快な1発。チームで今大会なんと9本目の本塁打をたたき込んだ。これでさらに勢いがついた。

 下山は公式戦初の本塁打。「今までやってきたことを、自信を持ってやるだけ」と打席に臨んだ。会場がある弘前市の弘前四中出身で、弘前白神シニアでプレーしていた。中学、シニアチームとも西武外崎修汰内野手(25)の後輩に当たる。津軽から県南の八戸へ。「中学時代の仲間と一緒でなく、知らない環境で自分を試したかった」と光星の門をたたいた。

 光星は昨夏決勝で青森山田に敗れ、秋の県大会は準決勝で弘前東に敗戦。第3代表で臨んだ東北大会も2回戦で能代松陽(秋田)に敗れてセンバツへの道を断たれた。不振の間、チーム内もバラバラになった。ここにきて「やっとチーム一丸になることができた」と長南は涙を流した。

 仲井宗基監督(48)は「甲子園の99回大会まで東北に優勝旗は来なかった。100回大会での挑戦権を手にしたかった。何が何でも勝ちたかった」と執念をみせた。強い光星が青森の、東北の夢を背負って甲子園に乗り込む。【北村宏平】

 ◆八戸学院光星 1956年(昭31)創立の私立校。生徒数は824人(女子393人)。野球部は学校創立と同時に創部され、部員数は124人(マネジャー6人含む)。甲子園出場は春9度、夏9度目。11年夏から甲子園3季連続準優勝。主なOBは巨人坂本勇人、ロッテ田村龍弘、阪神北條史也ら。所在地は青森県八戸市湊高台6の14の5。小野崎龍一校長。

◆Vへの足跡◆

2回戦8-1八戸工

3回戦7-0五所川原

準々決勝10-0大間

準決勝15-7青森山田

決勝6-4弘前学院聖愛