聖光学院が15-2で福島商を圧倒し、12連覇を達成した。4番須田優真内野手(3年)、5番五味卓馬外野手(3年)が本塁打を放つなど17安打15得点で、同校が持つ戦後の全国最長連続出場をさらに更新。決勝での15得点13点差も、いずれも1県1代表制となった78年以降最多となった。福島史上最強打線で臨む15度目の夏。8月5日開幕の第100回全国高校野球選手権記念大会(甲子園)で、今度こそ初の優勝旗白河越えを成就させる。
聖光学院が、福島史上最強打線を実証した。同校が12年決勝で14-2で学法石川を破った最多得点と最多点差を更新。夏の連続甲子園出場も戦後最多「12」に伸ばした。先制適時打を含む5打数4安打4打点の五味は「自分たちはセンバツで東海大相模に大敗し、ぶざまな戦いをしてしまったし、挑戦者として向かっていくだけでした。甲子園でも一緒です」。“日本一の挑戦者”としてリベンジ舞台に挑む。
3-1で迎えた3回1死、須田が特大ソロアーチ。「4番はみんなの代表。自分が情けないスイングをしたらダメ。ガツガツと良いスイングができた」と打線に火を付けた。7回には五味の2ランを含む5連打などで一挙6得点。9回にも唯一の昨夏からのレギュラー3番矢吹栄希内野手(3年)の適時三塁打など4連打。クリーンアップを中心とした「最強打線」が、過去5年、1点差勝利だった決勝との違いを見せた。
チームとしては秋春東北大会連覇を達成する中、1人蚊帳の外で悩んでいたのが五味だった。4番を任されたセンバツ以降、結果にこだわる真面目さゆえに不振に陥った。今春の東北大会では下位に降格。東北大会後も仲間の投手にお願いし、深夜まで打撃練習を重ねる日々。足首なども痛める悪循環だった。
きっかけは6月下旬の「不眠合宿」だった。金曜の夜から日曜まで夜通し体を動かし続けた。黙々と意識が遠のくくらいまでグラウンドを走り続ける日もあった。五味は「本能的になったら何でも出来る姿勢が作れると思った」。痛みや悩みも忘れるほどの闘争本能が復活の兆しを生んだ。大会直前の6月30日、盛岡大付(岩手)との練習試合で久しぶりの本塁打を含む3安打で完全復活に手応え。「今日も何も考えず、来た球に食らいつきました」と笑顔も復活した。決勝前夜には控えメンバーから約30分にまとめたメッセージ動画が届き、号泣しながら「みんなで戦おう」と誓い合ったことも感謝の原動力だった。
斎藤智也監督(55)は「歴史の中でも一番ひたむきにやってきたチームなので報われて良かった。潜在能力が高いのは分かっていたが、顕在化できるようになってきた。指折りのチーム」と歴代最強を認めた。100回記念大会で新調された深紅の大優勝旗。白河越えを果たす心技体が整ってきた。【鎌田直秀】
◆聖光学院 1962年(昭37)創立の私立校。生徒数は738人(女子176人)。野球部も62年創部で部員117人(マネジャー2人)。甲子園は春5度、夏15度目。主なOBは横山貴明、八百板卓丸(ともに楽天)歳内宏明(阪神)園部聡(オリックス)。所在地は福島県伊達市六角3。新井秀校長。
◆Vへの足跡◆
2回戦9-1安達
3回戦13-1岩瀬農
4回戦11-1日大東北
準々決勝7-1いわき光洋
準決勝3-2いわき海星
決勝15-2福島商