東海大熊本星翔35年ぶり甲子園 竹下逆転弾/熊本

35年ぶりに甲子園出場を果たした東海大熊本星翔ナインは歓喜の表情を見せる(撮影・梅根麻紀)

<高校野球熊本大会:東海大熊本星翔6-4熊本工>◇22日◇決勝◇リブワーク藤崎台球場

 東海大熊本星翔が35年ぶり2度目の甲子園切符を手にした。2回にエースが左上腕部に打球を受けるアクシデントも、4番の竹下翔悟内野手(2年)が3回に逆転3ラン。今年2月、練習場近くで起きた火災をナインとの連係プレーで消火作業に当たった男が大事な一戦でも救世主となった。

 チームが苦しいときも、周囲が苦しいときも、救うのが4番の役目だ。東海大熊本星翔の竹下は、最後のアウトを一塁で捕球した瞬間、右手のこぶしを握り締めて優勝の喜びを味わった。

 「本当にこのチームで優勝できて良かった」

 35年ぶり2回目の優勝への壁は序盤に立ちはだかった。2回にエース山下朝陽投手(3年)が左上腕部に打球を受けるアクシデントがあった上にリードを許した。

 1点差に追い上げて迎えた3回無死一、二塁から、竹下は高めに浮いたスライダーを逃さなかった。フルスイングした打球は両翼99メートルの左翼席に余裕で届いた。逆転3ランに満面の笑みでダイヤモンドを駆け巡った。

 「山下さんが打球を受ける苦しい流れだった。そこで逆転できて良かった」

 今夏から4番に座ったばかり。トレーニングと食事メニューを工夫して、体重を6キロ増の78キロとしてパワーアップ。高校通算7本塁打。そのうち今大会だけで3本塁打を放った。

 今年2月に練習場近くの倉庫で火災が発生した。ナインが気づいて竹下も消火活動に参戦。「煙が出ていた。女性1人がパニックになっていた」。バケツリレー、ホースつなぎで食い止め、日本高野連から表彰を受けた。

 エースの危機に、3回はチーム一丸だった。竹下の逆転弾の前には、中嶋大晴外野手(3年)は12球も粘って中前適時打。「投手にとって嫌な存在になりたい。カットを繰り返してヒットを打つ。そんな練習をしてきた」。相手のリズムを崩した上に、ベンチで山下を休ませる時間もつくった。

 山下はチームに救われアクシデントにも完投勝利。野仲義高監督(37)も「山下がこうなって、絶対に負けられないという気持ちがあった」と選手を褒めた。苦しい場面を乗り越えて築いてきたチームワークは、甲子園でも大きな武器になる。【中牟田康】

 ◆東海大熊本星翔(せいしょう)1961年(昭36)東海大二高校として設立した私立校。12年から現校名へ変更。生徒数は1490人(女子582人)。野球部創部は61年で部員は119人。甲子園出場は春はなし、夏は2度目。主なOBは「ONE PIECE」の作者、尾田栄一郎(漫画家)、女子プロゴルファーは上田桃子、古閑美保ら。所在地は熊本市東区渡鹿9の1の1。飯田良輔校長。

◆Vへの足跡◆

1回戦13-0鹿本農

2回戦4-0九州学院

3回戦16-1芦北

準々決勝12-3熊本国府

準決勝9-2球磨工

決勝6-4熊本工