稚内大谷センバツ21世紀枠候補校選出 日本最北の地から悲願聖地へ「最北野球みてほしい」

センバツの21世紀枠候補校に選ばれガッツポーズする稚内大谷の選手たち(撮影・山崎純一)

第95回選抜高校野球大会(23年3月18日開幕、甲子園)の21世紀枠候補9校が9日、日本高野連から発表され、北海道地区は稚内大谷が20年ぶり2度目の候補校に選出された。夏の北北海道大会で3度の決勝敗退など、あと1歩で甲子園切符を逃してきた。悲願の聖地へ、日本最北の私立校が吉報を待つ。21世紀枠3校は、一般選考と同じ来年1月27日の選考委員会で決定する。

 

日本最北の地から甲子園出場へ、稚内大谷ナインがチャンスをつかんだ。午後3時、02年以来の21世紀枠候補校として発表された。主将の高橋大空(そら)捕手(2年)は「甲子園出場という目標にまずは第1歩を踏み出せてうれしい。今後、地域貢献できるような活動もしっかり続けていこうという責任感も芽生えた」と気を引き締めた。

全道10地区で唯一、春夏通じて甲子園未出場の名寄地区の盟主として、聖地切符は悲願となる。89年春の北海道大会制覇はあるが、甲子園切符のかかった夏の北北海道大会で80、81年の2年連続を含め決勝敗退3度。02年も21世紀枠候補止まりだったが、再び可能性を残した年越しとなる。

稚内の冬場は大雪、氷点下に加え、平均風速10メートル以上の日が年間90日超えとも言われるほど極寒になる。過酷な環境の中、選手たちは防寒装備で雪上ノックやランニングなどの練習を積む。独居高齢者宅の除雪ボランティアを約40年間行うなど地域貢献にも力を入れ、今週末には少年野球教室開催の予定もある。

この日、授業を終えた選手たちは雪の降り積もるグラウンドに集まり、就任9年目の本間敬三監督(38)から候補校選出を伝えられた。東海大四(現東海大札幌)2年時に背番号13で、春甲子園の土を踏んでいる指揮官は「浮足立つことなく、地に足をつけて励むように」と選手に伝えた。

今秋は全道2回戦で、4強入りした立命館慶祥に延長10回、7-8のサヨナラ負け。持ち前の機動力を生かしながら、17安打を重ねて互角の戦いを見せた。運命の来年1月27日、朗報を心待ちにする。高橋大主将は「雪上トレーニングで鍛えた足腰が武器の最北の野球をみてほしいという気持ち」と願いを込めた。【山崎純一】

◆稚内大谷 1963年(昭38)創立の私立校。全校生徒258人(女子110人)。野球部は69年創部。部員28人(1年12人、2年16人)。卒業生に元ヤクルト宇佐美康広。所在地は稚内市富岡1丁目1の1。平岡祥孝校長。

◆センバツ21世紀枠 困難な練習環境を克服したり、地域貢献など、野球以外の要素を選考条件に加え、甲子園出場のチャンスを広げる目的で01年から導入された。秋季都道府県大会の16強以上(加盟129校以上は32強以上)から、07年までは2校、08年から3校を選出(13年の記念大会は4校)。東、西日本から各1校、残り1校は地域を限定せずに選ぶ。私立校では13年に土佐(高知)が唯一、選ばれている。

【関連記事】【一覧】センバツ21世紀枠最終候補に稚内大谷、由利、石橋、氷見、小野など9校