来春センバツの21世紀枠最終候補9校が9日、発表された。来年1月27日の選考委員会で甲子園出場の3校が決定する。


センバツ21世紀枠地区推薦校
センバツ21世紀枠地区推薦校

21世紀枠とは

困難な練習環境を克服したり、地域貢献など、野球以外の要素を選考条件に加え、甲子園出場のチャンスを広げる目的で01年から導入された。推薦校は原則、秋季都道府県大会の16強以上(加盟129校以上は32強以上)から選出。07年までは2校、08年から3校を選出(記念大会の13年は4校)。20年は新型コロナの影響で秋の明治神宮大会が中止。優勝地区に与えられる神宮枠がなくなったため、1枠増の4校になった。今回は前回に続き3校選出。東、西日本から各1校、残り1校は地域を限定せずに選ぶ。同枠の過去最高成績は、01年宜野座(沖縄)、09年利府(宮城)の4強。


21世紀枠最終候補

北海道

◆稚内大谷

今秋の名寄地区代表決定戦ではコールド勝ちで北海道大会進出を決めた。2回戦の立命館慶祥戦ではシーソーゲームの末に延長10回サヨナラ負けを喫したが、北海道大会16強入りを果たした。日本最北端の私立校で、これまでに同校の甲子園出場経験はなく名寄地区からも初の甲子園出場を目指している。

センバツの21世紀枠候補校に選ばれガッツポーズする稚内大谷の選手たち(撮影・山崎純一)
センバツの21世紀枠候補校に選ばれガッツポーズする稚内大谷の選手たち(撮影・山崎純一)

【東北】

◆由利(秋田)

今秋の秋田大会では、今夏甲子園出場の能代松陽にこそ敗れたが準優勝。東北大会では初戦の弘前東(青森)戦で16安打9得点と快勝し、準々決勝で今夏甲子園4強入りした聖光学院相手に激闘。延長11回にスクイズを決められてサヨナラ負けを喫したが、2-3と強豪相手に勝利まであと一歩とした。甲子園出場経験はなく、3年前にも秋田県の21世紀枠推薦校に選ばれた。

東北地区21世紀枠推薦校に選出された由利ナインは、喜びの笑顔を見せる(撮影・相沢孔志)
東北地区21世紀枠推薦校に選出された由利ナインは、喜びの笑顔を見せる(撮影・相沢孔志)

【関東・東京】

◆石橋(栃木)

今秋の栃木大会では、3試合連続で2桁得点を奪ってコールド勝ちする一方で、準決勝までの4試合で3失点と堅守も光る。準決勝で青藍泰斗に敗れたが、20年秋以来の県4強入りを果たした。近年は17年春や16年秋なども県4強入りしており、16年と20年にも関東・東京地区の候補校に選出されたが、センバツ切符はつかめなかった。甲子園出場経験はない。

21世紀枠地区代表に選ばれた石橋ナイン(撮影・星夏穂)
21世紀枠地区代表に選ばれた石橋ナイン(撮影・星夏穂)

【北信越】

◆氷見(富山)

今夏の富山大会準決勝で高岡商に11-12と乱打戦の末敗れて、甲子園出場を逃した。しかし、秋の富山大会では1試合平均12・8得点と圧倒的な打力で優勝。北信越大会では1回戦・遊学館(石川)戦でプロ注目の青野拓海投手が延長12回を投げて完封勝ちするなど、8強入りを果たした。甲子園には65年夏と93年春の2度出場している。

【東海】

◆木本(三重)

学校は過疎化が進む三重県南部の熊野市にある。部員13人ながら今秋三重大会では、3回戦で甲子園出場経験のある白山にコールド勝ち。3位決定戦では東海大会8強入りした海星に敗れたが奮闘した。甲子園の出場経験はない。

【近畿】

◆小野(兵庫)

今秋兵庫大会では甲子園春夏通算8度出場の神港学園や今夏兵庫大会4強入りの加古川西などを破りベスト8に進出。準々決勝では近畿大会8強に入った社に敗れたが、2-3とロースコアの接戦を演じた。甲子園の出場はないが、放送部が全国大会常連校で夏の甲子園の開閉会式の司会を担当することも多い。また、東大や京大などの難関大学へも輩出する進学校としても知られる。

小野の北垣賢高監督はミーティングでナインに21世紀枠近畿地区候補校になったことを告げる(撮影・林亮佑)
小野の北垣賢高監督はミーティングでナインに21世紀枠近畿地区候補校になったことを告げる(撮影・林亮佑)

【中国】

◆神辺旭(広島)

今秋の広島大会では接戦を勝ち上がった。準決勝まではすべて1点差ゲームをものにした。準決勝では甲子園常連校の広島商に3-5で敗れたが、中国大会に進出。1回戦のおかやま山陽戦では、のべ8人の継投で食らいついた。甲子園出場経験はない。

【四国】

◆城東(徳島)

今秋の徳島大会では準々決勝まですべてコールド勝ち。四国大会出場をかけた3位決定戦で強豪の徳島商に敗れたが、4-5と接戦だった。甲子園出場経験はないが、19年秋にも四国大会ベスト8入りして四国地区の21世紀枠候補校に選ばれている。22年に学校は創立120周年を迎えた伝統ある学校で、瀬戸内寂聴さんの母校でもある。

【九州】

◆高鍋(宮崎)

今秋の宮崎大会では、接戦をものにして勝ち進んだ。決勝では宮崎商に敗れて準優勝だったが、九州大会に出場。1回戦では今夏甲子園に出場した明豊(大分)に及ばなかったが、先発した山床が9回2失点と力投した。甲子園には春夏通算10度出場し65年夏に4強入りしているが、98年春を最後に遠ざかっている。ラグビー部が花園常連校で今年も出場が決まっている。



21世紀枠47都道府県の推薦校

北海道=稚内大谷(県立)

今秋道大会16強。春夏通じて甲子園出場なし

青森=青森商(県立)

今秋県大会4強。73年夏の甲子園出場(初戦敗退)

岩手=一関二(県立)

今秋県大会4強。春夏甲子園出場なし

秋田=由利(県立)

今秋県大会準優勝→東北大会8強。春夏甲子園出場なし

山形=九里(くのり)学園(私立)

今秋県大会4強。春夏甲子園出場なし。米沢市にある私学。1901年に九里裁縫女学校として創設。99年男女共学に

宮城=仙台三(県立)

今秋県大会4強。21年夏準優勝。春夏甲子園出場なし。1963年開校の進学校

福島=田村(県立)

今秋県大会4強。夏も4強。春夏甲子園出場なし。1923年旧制田村中として開校。体育科があり陸上部は強豪。野球部OBに元大洋の鈴木隆投手ら

茨城=常磐大高(私立)

今秋県大会準優勝→関東大会は初戦で慶応に3-5で敗れる。春夏甲子園出場なし。水戸市にある私学。元女子校で2000年から男女共学。OBに前広島の菊池保則投手

栃木=石橋(県立)

今秋県大会4強。春夏甲子園出場なし。下野市にある進学校。16、20年に関東の21世紀枠候補に残ったが落選

群馬=市太田(市立)

今秋県大会8強。太田市商時代の96年春に甲子園出場(1回戦敗退)。2015年に太田市商から市太田に。OBに元ロッテの細谷圭内野手

埼玉=山村学園(私立)

今秋県大会3位で関東大会出場し8強。春夏甲子園出場なし。元女子校で08年から共学。川越市にある私学

千葉=県船橋(県立)

今秋県大会16強。春夏甲子園出場なし。県内屈指の公立進学校。卒業生に野田佳彦元首相

東京=桜美林(私立)

今秋都大会8強。甲子園は春夏合わせ10度出場し76年夏に全国制覇。町田市にある私学。OBに元ロッテ荻野忠寛投手

神奈川=横浜創学館(私立)

今秋県大会4強。春夏甲子園出場なし。横浜市金沢区にある私学。横浜商工から03年現校名に。OBに広島秋山翔吾外野手、日本ハム福田俊投手ら

山梨=笛吹(県立)

今秋県大会8強。春夏甲子園出場なし。2010年に石和と山梨園芸が統合

長野=伊那北(県立)

今秋県大会4強。甲子園は1955、56、61年夏に出場。1920年旧制伊那中として開校した進学校

新潟=北越(私立)

今秋県大会8強。夏は4強。春夏甲子園出場なし。1936年北越商として創立。OBに元中日の古川利行投手

石川=飯田(県立)

今秋県大会8強。春夏甲子園出場なし。学校所在地は珠洲市

富山=氷見(県立)

今秋県大会優勝→北信越大会8強。今夏富山大会準優勝(高岡商に11-12で敗れる)。甲子園は65年夏、93年春の2度出場(ともに初戦敗退)。1927年開校。2010年に有磯高と合併

福井=若狭(県立)

今秋県大会8強。夏は4強。甲子園は春夏合わせ10度出場。69年夏に4強。74年春を最後に出場なし。小浜市にある進学校。野球部OBに元阪神の川藤幸三外野手

静岡=知徳(私立)

今秋県大会4強。春夏甲子園出場なし。2014年に三島高から現校名

愛知=刈谷(県立)

今秋県大会8強。甲子園は78年春に出場(初戦敗退)。県内有数の進学校。09年に東海地区候補選出

岐阜=岐阜(県立)

今秋県大会4強。甲子園は春夏6度出場し49年夏に準優勝。1873年創立の進学校。OBに元西武監督の森祇晶

三重=木本(県立)

今秋県大会4強。春夏甲子園出場なし。学校所在地は熊野市。卒業生に元体操選手の笠松茂、元巨人の高見昌宏捕手

滋賀=水口東(県立)

今秋県大会4強。春夏甲子園出場なし。甲賀市にある中高一貫校

京都=宮津天橋・丹後緑風(府立)

今秋府大会8強。宮津天橋は今夏3回戦進出、丹後緑風は初戦敗退

大阪=佐野(府立)

今秋府大会16強。春夏甲子園出場なし。泉佐野市にある進学校

兵庫=小野(県立)

今秋県大会8強。春夏甲子園出場なし。1880年小野中として設立された進学校。OBに元阪神の山本晴三外野手、慶大野球部OBでフリーアナウンサーの田中大貴

奈良=生駒(県立)

今秋県大会8強。春夏甲子園出場なし。1963年創立の進学校。今夏は準決勝で智弁学園を破り決勝進出。しかし決勝を前に主力選手がコロナで離脱、天理に敗れ準優勝。OBに元広島の森跳二投手

和歌山=熊野(県立)

今秋県大会8強。春夏甲子園出場なし。1923年西牟婁農学校として創立。OBに元中日の古谷盛人捕手

岡山=勝山(県立)

今秋県大会16強。春夏甲子園出場なし。1911年勝山実科高等女学校として開校。学校所在地は真庭市。OBに元広島の山根和夫投手

鳥取=倉吉総合産(県立)

今秋県大会8強。今夏は準優勝。春夏甲子園出場なし。03年に倉吉工と倉吉産が統合

広島=神辺旭(かんなべあさひ=県立)

今秋県大会4強→中国大会初戦敗退。春夏甲子園出場なし。福山市にあり普通科と体育科がある

島根=三刀屋(県立)

今秋県大会準優勝→中国大会初戦敗退。甲子園は78年夏に出場(初戦敗退)。1924年旧制三刀屋中として開校。学校所在地は雲南市

山口=光(県立)

今秋県大会3位→中国大会準優勝。甲子園は93、94年夏に2年連続出場もいずれも初戦敗退

香川=高松北(県立)

今秋県大会8強。春夏甲子園出場なし。1983年創立の中高一貫進学校。OBに広島塹江敦哉投手

徳島=城東(県立)

今秋県大会4強。春夏甲子園出場なし。1902年徳島県立高等女学校として創立。今年創立120周年を迎えた県内屈指の進学校。OBに元広島の武内久士投手

愛媛=松山商(県立)

今秋県大会8強。甲子園は夏26度、春16度出場し春夏合わせ7度の優勝を誇る名門。しかし01年夏を最後に甲子園から遠ざかり昨年に続く推薦。OBに元巨人の西本聖投手ら

高知=須崎総合(県立)

今秋県大会8強。春夏甲子園出場なし。2019年に須崎高と須崎工が統合し開校

福岡=近大福岡(私立)

今秋県大会4強。春夏甲子園出場なし。近大女子高から98年に共学

佐賀=鳥栖(県立)

今秋県大会準優勝→九州大会初戦敗退。甲子園は夏2回、春1回出場し通算1勝。1927年鳥栖高等女学校として開校。OBに元横浜監督の権藤博、元広島監督の緒方孝市

長崎=九州文化学園(私立)

今秋県大会8強。春夏甲子園出場なし。06年に男女共学。女子バレー部は強豪。学校所在地は佐世保市

大分=高田(県立)

今秋県大会4強。甲子園は61年夏に1度出場し初戦敗退。OBに元オリックスの金田政彦投手

熊本=熊本商(県立)

今秋県大会8強。甲子園は春夏合わせ7度出場し26年春に4強。60年夏を最後に60年以上遠ざかっている。1895年創立。OBに元中日の江藤慎一外野手、茨城ゴールデンゴールズの片岡安祐美

宮崎=高鍋(県立)

今秋県大会準優勝→九州大会初戦敗退。甲子園は夏6回、春4回の計10度出場し65年夏に4強。98年春を最後に遠ざかっている。OBに元阪神の池田親興投手ら

鹿児島=国分中央(市立)

今秋県大会4強。春夏甲子園出場なし。霧島市にある市立校

沖縄=沖縄工(県立)

今秋県大会8強。春夏甲子園出場なし。1902年開校。学校所在地は那覇市松川


21世紀枠・過去の出場校


出場校
01安積(福島)※宜野座(沖縄)
02※鵡川(北海道)松江北(島根)
03柏崎(新潟)隠岐(島根)
04一関一(岩手)八幡浜(愛媛)
05※一迫商(宮城)高松(香川)
06真岡工(栃木)金沢桜丘(石川)
07都留(山梨)※都城泉ケ丘(宮崎)
08※安房(千葉)※成章(愛知)※華陵(山口)
09※利府(宮城)彦根東(滋賀)大分上野丘(大分)
10山形中央(山形)※向陽(和歌山)川島(徳島)
11大館鳳鳴(秋田)佐渡(新潟)※城南(徳島)
12女満別(北海道)石巻工(宮城)洲本(兵庫)
13※遠軽(北海道)いわき海星(福島)益田翔陽(島根)土佐(高知)
14小山台(東京)海南(和歌山)大島(鹿児島)
15豊橋工(愛知)桐蔭(和歌山)※松山東(愛媛)
16※釜石(岩手)長田(兵庫)小豆島(香川)
17不来方(岩手)多治見(岐阜)中村(高知)
18由利工(秋田)膳所(滋賀)伊万里(佐賀)
19石岡一(茨城)富岡西(徳島)熊本西(熊本)
20帯広農(北海道)磐城(福島)平田(島根)
21八戸西(青森)三島南(静岡)東播磨(兵庫)※具志川商(沖縄)
22只見(福島)丹生(福井)大分舞鶴(大分)

※は1勝以上挙げた学校、最高成績は宜野座と利府の4強、20年は中止