マー君7回途中1失点で8勝 監督絶賛「今季最高」

<ヤンキース3-2インディアンス>◇7日(日本時間8日)◇ヤンキースタジアム

 ヤンキース田中将大投手(27)が先発し、6回0/3を投げ被安打6、1失点で8勝目を挙げた。

 制球が安定し、常時ストライク先行の無四球。同級生の捕手ロマインとの呼吸も合い、1、6回には怖い4番ナポリから変化球と直球で見逃し三振を奪った。

 7回先頭に二塁打を許して降板したが、引き揚げる際にはスタンディングオベーションを受けた。

 デーゲームの登板で、前回からの間隔は実質、中3・5日だった。しかも強打のインディアンス打線に対しての好投。ジラルディ監督は「今季最高だったのではないか」と話した。

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 終始一貫、田中の土俵だった。打者25人に対して初球ストライクが21人。90マイル(145キロ)前後のツーシームとカットボール、スプリットを散らして簡単にカウントを稼いでいった。要所で力勝負を選択できるほど、直球の伸びも豊かだった。「変な話、四球も全然ちらつかないで、いいテンポでストライクを取っていけた」と全体を振り返った。

 イ軍のナポリは、今季28本塁打、79打点で不動の4番である。田中は今試合前で10打数6安打の通算6割、2本塁打と苦手にしていた。この日は完全に上をいった。

 【1回2死一塁の第1打席 1ボール2ストライクからの5球目、スライダーを見逃し三振】外角の直球系を高低に集め、ナポリの視線をずらしながらカウントを稼ぐ。直前に際どいスライダーを見せ(ボール)、同じ球種を外角いっぱいに沈めた。

 【6回1死の第3打席 2ボール2ストライクからの5球目、直球を見逃し三振】第1打席に見逃し三振したスライダーを2球続け、ともに空振り。縦の変化を2球見逃し平行カウントに。虚を突く格好の外角中央、93マイル(150キロ)に手が出ず。

 田中は「呼吸がすごく合っていた。彼のリードに引っ張られて、いい投球ができた」と、捕手ロマインのリードに感謝した。ロマインは、全部の球種がカウント球にも勝負球にもなるという、田中の長所をよく理解している。偏らない配球で相手を惑わせた。

 イ軍から初勝利。「(降板時)ああいう声援をいただけてうれしい。二塁打の走者を残し、失点に結び付いた。そこが反省。(イ軍には)登板した試合は確実にやられていた。断ち切るという意味で、良かった」と言った田中は「中4日でももちろん、勝ちたいと思って投げている。ただ、今日打たれた、抑えたが大きな問題じゃない。目先のことにとらわれずやっていきたい」とも語った。

 中4日の登板で結果が出ないと、すぐに「苦手」とレッテルを貼られる。中3・5日で今季一番の8勝目は、周囲にはどう評価されるのか。間違いなく言えるのは、田中の状態は良く、日本にいた3年前より確実に引き出しが増え、洗練されているということ。万能型を自分の色とすべく、コツコツ歩を進めている。【宮下敬至】